2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』がついに刊行。発売直後に大重版となり、坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の刊行に寄せて、ライターの小川晶子さんに寄稿いただいた。(ダイヤモンド社書籍編集局)
自分を変えたいけれど、変えられない
今年こそは、自分を変える。
新しい私になる!
そんな誓いを立てたことはないだろうか。
私は一時期、毎年のようにそう言っていた。
しかし、自分を変えるのは難しい。
具体的に何を変えればいいのだろうか?
単に「変わりたい」と思っただけでは何の変化もないままだ。
もっと言えば、本当に変わる必要があるのだろうか?
持って生まれた資質は変えなくていい
組織開発コンサルタントの勅使川原真衣氏は、クライアント先の企業の社員から「自分を変えたいけれど、変えられないんです」という悩みをよく聞くという。
職場で期待されていることとの間にギャップを感じ、「変わらなければ」と焦る気持ちがあるのかもしれない。
リーダー職になったのだから、もっと自信を持って堂々としていないと……
この部署に配属されたのだから、こういう自分にならないと……
しかし、勅使川原氏は「持って生まれた資質というものはあり、自分をねじ曲げ無理をしてまで変えようとする必要はない」と言っている。
ここで重要になる考え方がある。
人は立体的で多面的な存在です。ある特定の接し方や性格が固定されているわけではなく、環境によって、その人のどんな面が引き出されるのかが違ってくる。人は「揺らぐ」もの、という前提です。
――『組織の違和感』p.86より
この前提に立つと、「自分を変える」というのは、自分の内面を変えることではなく、外部環境との接続の仕方を調整することだととらえ直すことができるのだ。
部下をどうしても怒鳴ってしまう
『組織の違和感』の中で挙げられていた具体例が興味深い。
「ふざけんなてめぇ!」などと部下を怒鳴り散らす営業部長の男性は、真剣に変わりたいと悩んでいたそうだ。
アンガーマネジメントの本を買って勉強し、頭では理解している。でも、どうしても反射的に出てしまう。変えがたい性質なのである。
このような場合、本人を変えようとしてもなかなかうまくいきません。これは持って生まれた資質のひとつと割り切って、環境を調整するほうに考え方をシフトするべきです。
――『組織の違和感』p.88-89より
勅使川原氏は、その人が無理にマネージャーを続けるのではなくプレイヤーに戻れるよう人事に提案したという。
環境を調整することで、誰もが苦しい状況を長引かせず、解決に向かうことができた事例である。
人を変えるよりも、環境を変える。
これは盲点だったかもしれない。
この視点を持てるだけで、ずいぶん楽になれる気がする。
(本稿は、『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』の発売を記念したオリジナル記事です)
小川晶子(おがわ・あきこ)
大学卒業後、商社勤務を経てライター、コピーライターとして独立。企業の広告制作に携わる傍ら、多くのビジネス書・自己啓発書等、実用書制作に携わる。自著に『文章上達トレーニング45』(同文館出版)、『オタク偉人伝』(アスコム)、『超こども言いかえ図鑑』(川上徹也氏との共著 Gakken)、『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』(サンマーク出版)がある。

「好き嫌い」や「やる気」、
「あうんの呼吸」に頼らず
組織を機能させるための具体策!
対話より先に、やるべきことがある。
「大丈夫です」のひとことでモヤッとしたとき、
待ちの姿勢ばかりの部下に自走してもらうにはどうしたらいいのか、
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えるための効果的な伝え方は?……
ビジネスの現場に尽きないコミュニケーションの悩みを、「マネジメント」のスキルとして、「3段階」に分けて打ち手を授けるのが本書です。
まずは土台となる「観察」のスキルを紹介。ここでは、違和感に着目するというユニークな手法をとります。
そして、「自分を知る」「相手を知る」「組み合わせる」の3段階で、関係性から組織の最適解を導き出します。
自分と相手の「持ち味」を知り、
組織をつなぎ直すための一手を
この3段階を経て、違和感を乗り越えるための伝え方や振る舞い方を具体例とともに紹介します。
スキルといっても、難しいものではありません。「あれ、今なんか変だったな」という気づきを、手がかりにつかむこと。
さらに本書では、「持ち味」を知るためのいくつかの診断も掲載。すぐにチームに実装できるような作りにしています。
事前に特別な準備や学習はまったく不要。やるべきことが明確になり、現場のもやもやがクリアになります。
いつでも「今ここ」での気づきから組織を改善できる。行き詰まった状態を打開する新鮮な方策が詰まった、忙しいリーダーの支えになる一冊です。

本書の内容
はじめに
ギリギリな組織の頼みの綱は
人それぞれが「正しさ」を生きている
「持ち味」の組み合わせと「解釈」のクセ
第1章 違和感とは何か? ―― 「決めつけ」が横行する現場で
観察の達人!? コナンくん
仕事に本音はいらない
「なんか変な感じ……」の正体
人はみな「違う色のメガネ」をかけている
「職場のすれ違い」は決めつけから生まれる
とにかくみんな疲れている
すべてのコミュニケーションの基本となる「観察」の3ステップ
第2章 「自分を知る」 ―― 違和感に気づくと「自分」がわかる
自分の本音がわからない
変えられない性質は確かにある
手がかりは「どうしてもとりつくろえない瞬間」
「わかってほしかった」は「解釈のクセ」が生み出している
「自分が知らない自分」はスマホが教えてくれる
第3章 次に、「相手を知る」 ―― 人間関係の違和感から「相性」を知る
「伝える」の前に「見る」がある
「言わなくてもわかるでしょ」はマネジメントの怠慢
相手の何を「見る」のか? ―― ソーシャルスタイルの4類型
「他者の合理性」を知るヒント
「人それぞれ」では話が進まない
第4章 そのうえで、「組み合わせる」 ―― 違和感を役立て最高の組織をつくる
「今いるメンバー」で最高のチームをつくる
「好き嫌い」より「相性」を考える
それは「評価」ではなく「評判」です
「自分でやったほうが早い病」への処方せん
「似た者同士」がうまくいくとは限らない
職場は「ドレッシング状態」にならなくていい
個人と組織のサンドイッチ作戦
第5章 違和感を乗り越えるための話し方・振る舞い方
役割の実行を後押しする「面談」「相談」「雑談」「対話」
「大丈夫です」の複雑さ
「よかれと思って」が残念なワケ
待ちの姿勢ばかりの部下に「自走してほしい」と伝えたい
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えたい
コミュ力が高い人の「真の使命」は、相手に合った手段を選ぶこと
危うい場面で役に立つ「否定しない技術」
会議時間を短縮すれば「生産性」が高まるのか?
「困っている人」は「決めつけていない人」
第6章 「いてくれてありがとね」から始める組織改革
「いい人材がいない」と嘆く人は組織の価値を見落としている
「重すぎない信頼関係」のススメ
「健全に疑う」のススメ
100点を取ってきた子どもに「偉いね」と言ってはいけない理由
100%わかり合うことは無理、それでも「訂正」し合うことはできる
「自分のまま働く」ために
解説 ―― 坂井風太