チームのメンバーや部下とのコミュニケーションを円滑にするにはどうしたらいいのか。2万人をみてきたコンサルタント・勅使川原真衣氏は、その方策を著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』で示す。坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛する同書から、内容を抜粋・再構成し特別公開する。
声をかけたときの気まずそうな表情、言葉をためらった一瞬の間、近くにいるのに目が合わない、リアクションの遅れ……。
決定的な問題ではないものの、なんだか変な感じがする。
組織のルールに従っているはずなのに、「見えない慣習」や「暗黙の了解」で縛られている気がする。
それに気づいていない人が同じ方向を向けていない感じもする。
噛み合っていない、行き違いがある、相手が何を考えているかわからなくなった、どこか不穏な瞬間たち。
これは気のせいなのでしょうか。さっさと水に流すべき?
なくならないどころか雪だるま式に膨らむ「違和感」
この感覚は、何もしなければどんどん積もっていくのが厄介なところ。勝手に消えてなくなりはしないのです。
一度忘れても、また「あれ?」と思うことがあると、次第にそれが「やっぱり」という確信へと変わっていきます。
そのたびに、「そういえばこの前もこんなことあったな……」と思い出して、また違和感が発動する。
そのうち、「嫌い」や「無理」といった感情が、互いに対する決定的なあきらめや失望という確信を持った形で表れるのです。
そんな「違和感の積もった組織」というのが、些細なすれ違いも解決できないまま、問題を雪だるま式に大きくしていると痛感しています。
だからこそ私は、それが積み重なる前に対処することを提案したいのです。
「よかれと思って」が一番キケン
私たちは小さい頃から、こう教えられてきました。
「自分がされてうれしいことを、相手にもしなさい」
しかし、自分がされてうれしいことが、相手にとってもうれしいこととは限りません。逆もまた然りです。
「自分がされて嫌なことは、相手にもしてはいけません」
そう言われてきたけれど、現実問題、自分と相手は違うのです。自分がされて嫌なことが、必ずしも相手にとっても嫌なこととは限らない。
最近は本当に、コミュニケーションにも「こうすべき」という正解がある、という風潮が強くなっているような気がします。
「◯分で話しなさい」
「傾聴しなさい」
「もっと雑談をしなさい」
しかし私は、そもそもコミュニケーションというものは「七変化」であるべきだと思っています。
相手に伝わってこそのコミュニケーションですから、「できる人」はこれ、と一元的な答えを本来は提示できないはず。
伝わらない方法でいくら「察して」と念じていても、その時は永遠に訪れません。
それよりも、すんなり伝わらないことを受け止め、相手に伝わるように振る舞いを変えるほうが、よっぽど職場は良くなります。
思いどおりの反応が返ってこないからといって「あいつはコミュ力が低い」と即断するのは、関係性の問題を、相手のコミュ力の問題にすり替えているだけです。

「好き嫌い」や「やる気」、
「あうんの呼吸」に頼らず
組織を機能させるための具体策!
対話より先に、やるべきことがある。
「大丈夫です」のひとことでモヤッとしたとき、
待ちの姿勢ばかりの部下に自走してもらうにはどうしたらいいのか、
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えるための効果的な伝え方は?……
ビジネスの現場に尽きないコミュニケーションの悩みを、「マネジメント」のスキルとして、「3段階」に分けて打ち手を授けるのが本書です。
まずは土台となる「観察」のスキルを紹介。ここでは、違和感に着目するというユニークな手法をとります。
そして、「自分を知る」「相手を知る」「組み合わせる」の3段階で、関係性から組織の最適解を導き出します。
自分と相手の「持ち味」を知り、
組織をつなぎ直すための一手を
この3段階を経て、違和感を乗り越えるための伝え方や振る舞い方を具体例とともに紹介します。
スキルといっても、難しいものではありません。「あれ、今なんか変だったな」という気づきを、手がかりにつかむこと。
さらに本書では、「持ち味」を知るためのいくつかの診断も掲載。すぐにチームに実装できるような作りにしています。
事前に特別な準備や学習はまったく不要。やるべきことが明確になり、現場のもやもやがクリアになります。
いつでも「今ここ」での気づきから組織を改善できる。行き詰まった状態を打開する新鮮な方策が詰まった、忙しいリーダーの支えになる一冊です。

本書の内容
はじめに
ギリギリな組織の頼みの綱は
人それぞれが「正しさ」を生きている
「持ち味」の組み合わせと「解釈」のクセ
第1章 違和感とは何か? ―― 「決めつけ」が横行する現場で
観察の達人!? コナンくん
仕事に本音はいらない
「なんか変な感じ……」の正体
人はみな「違う色のメガネ」をかけている
「職場のすれ違い」は決めつけから生まれる
とにかくみんな疲れている
すべてのコミュニケーションの基本となる「観察」の3ステップ
第2章 「自分を知る」 ―― 違和感に気づくと「自分」がわかる
自分の本音がわからない
変えられない性質は確かにある
手がかりは「どうしてもとりつくろえない瞬間」
「わかってほしかった」は「解釈のクセ」が生み出している
「自分が知らない自分」はスマホが教えてくれる
第3章 次に、「相手を知る」 ―― 人間関係の違和感から「相性」を知る
「伝える」の前に「見る」がある
「言わなくてもわかるでしょ」はマネジメントの怠慢
相手の何を「見る」のか? ―― ソーシャルスタイルの4類型
「他者の合理性」を知るヒント
「人それぞれ」では話が進まない
第4章 そのうえで、「組み合わせる」 ―― 違和感を役立て最高の組織をつくる
「今いるメンバー」で最高のチームをつくる
「好き嫌い」より「相性」を考える
それは「評価」ではなく「評判」です
「自分でやったほうが早い病」への処方せん
「似た者同士」がうまくいくとは限らない
職場は「ドレッシング状態」にならなくていい
個人と組織のサンドイッチ作戦
第5章 違和感を乗り越えるための話し方・振る舞い方
役割の実行を後押しする「面談」「相談」「雑談」「対話」
「大丈夫です」の複雑さ
「よかれと思って」が残念なワケ
待ちの姿勢ばかりの部下に「自走してほしい」と伝えたい
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えたい
コミュ力が高い人の「真の使命」は、相手に合った手段を選ぶこと
危うい場面で役に立つ「否定しない技術」
会議時間を短縮すれば「生産性」が高まるのか?
「困っている人」は「決めつけていない人」
第6章 「いてくれてありがとね」から始める組織改革
「いい人材がいない」と嘆く人は組織の価値を見落としている
「重すぎない信頼関係」のススメ
「健全に疑う」のススメ
100点を取ってきた子どもに「偉いね」と言ってはいけない理由
100%わかり合うことは無理、それでも「訂正」し合うことはできる
「自分のまま働く」ために
解説 ―― 坂井風太