【解説】「負けない投資」の鉄則は、下値の堅さにあり
昭和飛行機工業の事例から学べる最大の教訓は、資産バリュー株が持つ「下値の堅さ(ダウンサイド・プロテクション)」です。
夢や期待だけで買われる成長株は、その期待が剥落した瞬間に株価が半値以下になることも珍しくありません。しかし、資産バリュー株には「最悪、会社を解散して資産を売れば、今の株価以上のお金が戻ってくる」という、実物資産による裏付けがあります。
「儲けること」よりも「損をしないこと」を最優先すべき個人投資家にとって、この安全地帯(セーフティ・マージン)が確保されていることは、精神衛生上、何よりのメリットと言えるでしょう。
決算書に隠された「宝の地図」を読む
では、第二の昭和飛行機工業をどう探せばよいのでしょうか。ヒントは「賃貸等不動産」の項目にあります。多くの老舗企業は、決算書の「帳簿価額(買った時の値段)」で土地を計上していますが、注記を見ると「時価(今の値段)」が記載されています。
昭和時代に二束三文で買った土地が、現在では数十倍の価値になっている――。この「帳簿と時価のギャップ」こそが、私たち個人投資家が探すべき「隠れた含み益」の正体です。財務諸表という宝の地図を読み解くことで、まだ誰にも気づかれていないお宝銘柄を発掘する喜びは、バリュー株投資の醍醐味です。
時代は「溜め込み」を許さない
かつては、資産を持っていても活用しない「万年割安株」が多く放置されていました。しかし、現在は東京証券取引所によるPBR改善要請や、アクティビスト(物言う株主)の活動により、企業は「持っている資産を株主のためにどう使うか」を厳しく問われる時代になりました。
昭和飛行機工業のようなTOBや増配、自社株買いといった「資産の解放」は、今後ますます増えていくはずです。宝の山の上に座っている企業を見つけ、市場がその価値に気づくまでじっくり待つ。これこそが、個人投資家が勝てる王道のシナリオなのです。
※本稿は『50万円を50億円に増やした 投資家の父から娘への教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。









