現在ジャパネットたかた代表取締役社長を務める髙田旭人氏(左)と、創業者の髙田明氏(右) Photo:SANKEI
外的リスクと内部不祥事が絶えない時代に、企業の命運を分けるのは“起きた瞬間の対応力”です。なぜ、22年前のジャパネットたかたの“あの判断”が、いまなお「教科書」とされるのでしょうか。そこには、短期の損失を覚悟してでも企業価値を守る、きわめて合理的な意思決定がありました。(グロービス ファカルティ・グループ・オフィス 戦略企画担当 八尾麻理)
サイバー攻撃、内部で起こる不正……
データが示す「不祥事は例外ではない」現実
2025年は、日本企業にとって外と内の両面から大きく信頼が揺らいだ1年となりました。
外からの脅威の代表例は、ランサムウェアなどのサイバー攻撃です。アサヒグループホールディングスでは、9月に国内ビール全6工場を含むグループ各社で一時操業が停止。出荷が滞ったばかりか、11月には約191万件に及ぶ顧客情報漏えいの恐れが公表される事態に発展しました。
アスクルでも10月にランサムウェア感染により受注・配送システムが停止し、ネット通販が長期間麻痺する甚大な被害となりました。いずれも、被害が単一企業にとどまらず、サプライチェーン全体を巻き込む深刻な事案です。
一方、企業内部からの「信頼の崩壊」も深刻でした。
その象徴が、2025年8月に東証グロース市場を上場廃止となったAI企業オルツの粉飾会計です。過去数年にわたって主力サービスの売り上げを架空計上した粉飾会計が発覚し、第三者委員会の調査・認定を経て、経営陣が刑事告発されました。
また生命保険業界では、2025年7月に、最大手の日本生命から大手金融機関への出向者が、同行で得た内部情報を無断で持ち出していたことが、外部からの問い合わせで発覚。その後、第一生命でも類似の持ち出しが判明し、不適切な慣行が業界に広がっていた可能性が金融庁から指摘され、複数の金融機関に波紋が広がりました。
こちらも、企業統治や内部管理の脆弱性を露わにした事案です。原因は異なりますが、どちらも企業の信用と存続を一瞬で揺るがしかねない危機である点で共通しています。
こうした状況は、近年のデータにも明確に表れています。







