稲盛氏が示した“覚悟”は今の日本にない

「歳出削減」という言葉は、不人気だ。誰もが、もらえるはずの補助金が減ったり、サービスが低下したりすることを嫌がる。政治家も、選挙に落ちるのが怖いから、口が裂けても言いたがらない。

 しかし、嫌われることから逃げ、甘い顔をして借金を重ねることは、優しさではない。未来の世代に対する虐待だ。

 稲盛氏の言葉にある「従業員や家族が一致協力して、どのような無理をしてでも」という覚悟が、今の日本にあるだろうか。

 借金で買った見せかけの繁栄は、長続きしない。むしろ、借金が増えれば増えるほど、将来の増税やインフレへの不安が高まり、人々は財布のひもを固くする。企業も投資を控える。結果として、経済の成長は阻害される。

 国債発行による景気対策は、一時的なカンフル剤にはなっても、体を健康にする栄養にはならないのだ。

 補助金や給付金は、天から降ってくる恵みではない。誰かが汗水たらして働いて納めた税金か、将来の子どもたちが背負わされる借金だ。安易に「国に何とかしてほしい」と願う心根こそが、財政破綻への道を舗装している。

 今こそ、甘えを捨てなければならない。自分たちの生活は自分たちで守るという気概を持ち、国に過度な要求をしないことだ。

 そして、耳当たりの良いバラマキ政策を掲げる政治家ではなく、不人気であっても「借金を減らす」「無駄を削る」と堂々と主張する政治家を支持する賢明さが求められている。

 国債発行は、破滅への道である。稲盛和夫氏が遺した金言を、今一度噛みしめるべきだ。

「歳出削減」という苦い薬を飲む勇気を持てるかどうかに、日本の未来はかかっている。痛みを避けて死に至るか、痛みを耐えて再生するか。選択の時は、すでに目の前にある。

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