『マネーの拳』(c)三田紀房/コルク
三田紀房の起業マンガ『マネーの拳』を題材に、ダイヤモンド・オンライン編集委員の岩本有平が起業や経営を解説する連載「マネーの拳で学ぶ起業経営リアル塾」。第48回では、IPO(新規上場)に必要なパートナーである主幹事証券会社について解説する。
「なめんなよ、この世界のキャリアが違うんだよ」
自社・ハナオカのIPOに向けて動き出した主人公・花岡拳。証券アドバイザーである牧信一郎の指示のもと、株式公開準備室を立ち上げることを決め、IPOに反対する幹部・大林隆二をその室長に任命する。
牧から準備室の作業についてレクチャーを受ける大林だが、「はあ」と生返事をするばかりでやる気を見せない。そんな大林の態度を見とがめた牧は「メモはよろしいですか?」と先制攻撃を繰り出す。
心の中で「聞いたとおり。反対派の急先鋒、のっけからの遅延行為」「こんなやつはゴマンと見てきた。だがなめんなよ、あんたとはこの世界のキャリアが違うんだよ」とつぶやく牧。それに対して大林も「コンサルタントだかかんだか知らねえが、てめえに指図される覚えはねえんだよ」と臨戦態勢を崩さない。
緊張した空気の中、牧は上場準備の作業について(1)財務資料の整理、(2)監査法人や主幹事証券会社など外部パートナーの選定、(3)上場基準に見合う株主構成の整理、(4)個別課題の発見と解決――の4点であると説明。その上で、まず4点目として、「自社特有の問題や悪弊」を整理することを提案するのだった。
上場前のアドバイスから、IPO株の取り扱いまで
『マネーの拳』(c)三田紀房/コルク
牧が大林に指示したとおり、IPOというのは自社だけで実現する訳ではない。外部パートナーとして上場に向けてアドバイスし、株の公募や売り出しを担当する主幹事証券会社と、財務情報を公正な立場でチェックする監査法人を決めないことには、審査を進める事ができないのだ。
主幹事証券会社の役割は、IPOを目指す企業の資本政策や社内体制整備に向けたアドバイスといった事前のサポートに始まり、上場手続きや審査、さらには実際に株式の公募や売り出しなどを引き受けるところまで幅広い。取引所に対して、上場の適格性を審査した報告書を提出するのも主幹事の仕事となる。
最近では、企業側が「主幹事証券会社に認めてもらう」ということがより重要になっている。
東京証券取引所は2030年以降、東証グロース市場の上場維持基準を「上場5年後に時価総額100億円」に変更すると発表した。この影響により、大手の主幹事候補証券会社では、時価総額の低いスタートアップの主幹事を断ることが増えているからだ。IPOの実態もこの数年で激変しているのだ。
大林を含めてIPOに反対する社員が結束する一方で、製造現場を仕切ってきたヤエコこと片岩八重子はIPOに賛成すると明言したことで、次回以降、社内は徐々に二分されていくのだった。
『マネーの拳』(c)三田紀房/コルク
『マネーの拳』(c)三田紀房/コルク







