AI関連株が牽引するかたちで、日経平均株価が急騰して史上最高値を更新している。同時に「これはバブルではないか?」という不安の声が高まっている。そこで今回は、1983年に証券業界に身を投じ、狂乱の80年代バブルから現在の相場までを最前線で見てきた証券アナリストの清水洋介さんに、当時と今の決定的な違いを語ってもらった。(鈴木豪、ダイヤモンド・ザイ編集部)

【検証】今の株価上昇は「令和のバブル」なのか?
80年代の狂乱を体験したプロが語る「市場と世相の決定的な違い」とは?

――清水さんは1983年に証券マンになられたそうですね。ちょうどプラザ合意の直前で、日本がバブルへと突き進んでいく入り口の時期です。

清水洋介さん清水洋介さん●証券アナリスト(日本証券アナリスト協会検定会員/日本テクニカルアナリスト協会会員)。1983年大和証券入社、ソシエテジェネラル証券、マネックス証券を経て、投資情報サービス会社「ピクシスリサーチ」を設立。現在は証券アナリストとして「ダイヤモンドZAi」をはじめ各種メディアで株式情報を発信。「日テレNEWS24」「ストックボイス」「ニュースバード」などテレビ出演も多数。

清水洋介(以下、清水) そうですね。当時は「半導体は産業の米」といわれ始めた頃で、日本の電機産業は活気づき、1982年に日経平均が底を打ってから右肩上がりのトレンドが始まった時期でした。今のAIブームと、当時の半導体ブームは構造的に似ている部分があります。

――今、日経平均が急ピッチで上昇して、「前回のバブルの再来だ」と警戒する人も多いですが、清水さんはどう見ていますか?

清水 結論から言うと、「バブル的な側面はあるが、当時とは中身が全く違う」ということです。1980年代のバブルは、「土地バブル」と呼ぶことが多いですが、異常な低金利を背景に銀行の貸し出しが異様に伸び、その金が土地と株に流れ込んだ「過剰流動性バブル」でした。

 時系列で言うと、プラザ合意による急激な円高→円高不況→不況を脱するために金利を下げる→過剰流動性が発生→不動産へ大量に資金が流入、です。

 当時、「地価は永遠に上昇する」という土地神話が一段と強固になりました。利益もたいして出ていない企業の株が「土地を持っているから」という理由だけで買われていました。

――円高不況から一転してのバブルでしたね。

清水 実は1960年代も過剰流動性バブルが発生しています。でも直前には山一証券が1回目の倒産(1965年)をするなど深刻な証券不況が訪れていました。東京オリンピック景気の反動による不況です。そこで日銀は証券会社に特別融資を行い、低金利政策を採用したことで過剰流動性が発生したのです。

 つまり、不況→金利低下→過剰流動性が発生→バブルという流れです。今回もコロナ禍による世界的な金融緩和による過剰流動性が発生していますので、共通点を感じています。