2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』がついに刊行。発売直後に大重版となり、坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の刊行に寄せて、ライターの小川晶子さんに寄稿いただいた。(ダイヤモンド社書籍編集局)

組織の違和感Photo: Adobe Stock

「仕事ができない」とは、何を指しているのか?

「◯◯は仕事ができない」
「あいつは使えない」

 会社員の頃、何度聞いたかわからない言葉だ。

「新人のB子が仕事ができなくて困っている」という話を毎日のように同期から聞いたときは、「そこまで言われているB子ってどんな人なの?」と逆に興味が沸いた。
 私は部署が違ったのでB子と直接やりとりをしたことがない。

「仕事ができない」とは、具体的に何を指すのだろう。

 大きなミスを頻発しているとか、座っているだけで何もしていないとかいうわけではなさそうだ。

 同期以外にもいろいろな人(人事部長にまで直接聞いた)にB子の話を聞き、統合してみると、B子は超マイペースなタイプであるらしかった。

 先輩に叱られている最中にペットボトルのお茶を飲み、火に油を注ぐようなことをする。「今飲むな!話を聞け!」と先輩は怒り心頭なのだが、本人はまったくこたえていない。

 先輩や上司からすると、「話が通じない」「何を考えているかわからない」と思うのだろう。

 一方で、社内でもっとも怖いと恐れられている部長に「すみません、これお願いします」と平気で仕事を持って行ったりする。

 話を聞いた人ほぼ全員(人事部長以外)が「あいつは仕事ができない」という評価を下していた。

「あいつは、ちょっとズレているんだよ」

相性の問題なのに、
「仕事ができない」と決めつけてしまう

 組織開発の専門家、勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感』の中に、相性が悪いだけなのに「あいつは仕事ができない」と言うことの問題が指摘されている箇所がある。

 似たタイプの人が多い職場に、いきなり違う人が入ってきたとき、あいつは生意気、何を考えているかわからない、組織文化になじまないなどと嫌悪感を抱かれてしまうことはよくあるという。

自分が無意識のうちに嫌悪感を抱いたときは、「それは単に、持ち味の相違から来ているのかもしれない」と俯瞰して考えてみてほしいのです。
やってはいけないのは、「あいつは仕事ができない」と能力の問題にしたり、「あいつは嫌なやつだから」と人間性の問題にしたりすることです。

 ――『組織の違和感』p.155-156より

 まさに、そんなことが起きていたような気がする。
 B子はユニークな持ち味を持っていた。

 勅使川原氏は、クライアントから「◯◯は仕事ができなくて、困っているんですよ」と相談を受けたとき「なるほど、あなたからはそう見えるんですね」と返すことにしているそうだ。

 そう言われると、自分が「あいつは仕事ができない」という決めつけをしていることに気づける。決めつけから一歩自由になれる

 職場の異分子であること、相性の問題で「あいつは仕事ができない」と思い込んでいるのだとしたら、大事なのは、相手を変えようとするのではなく組み合わせを調整することだ。

 それができないままだと、B子のように、逸材かもしれない人が職場を出ていくことになるだろう(実際、B子は数年で辞めてしまった)。

 本書は職場で起こりがちな「決めつけ」に気づかせてくれる。それが職場を良くする第一歩になるのだ。

(本稿は、『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』の発売を記念したオリジナル記事です)

小川晶子(おがわ・あきこ)
大学卒業後、商社勤務を経てライター、コピーライターとして独立。企業の広告制作に携わる傍ら、多くのビジネス書・自己啓発書等、実用書制作に携わる。自著に『文章上達トレーニング45』(同文館出版)、『オタク偉人伝』(アスコム)、『超こども言いかえ図鑑』(川上徹也氏との共著 Gakken)、『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』(サンマーク出版)がある。