2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』がついに刊行。発売直後に大重版となり、坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の刊行に寄せて、ライターの小川晶子さんに寄稿いただいた。(ダイヤモンド社書籍編集局)
「イエスマン」という悪口
「あの人はイエスマンだから」という言葉は、だいたい悪口だ。
自分の信念がない、主体性がない、権力におもねる。
そんな批判的な意味がこめられていることが多い。
何でも反対する人がいても困るが、何でも「はい、はい」と賛成する人にもひとこと言いたくなってしまうようである。
チームを前向きにするイエスマン
でも、ものすごく気持ちのいい「イエスマン」もいる。
数千年後の地球でゼロから文明を作り出すストーリーを描いた漫画『Dr.STONE』(集英社)に出てくる大樹というキャラクターは、科学者・千空のとんでもない無茶ぶりにも常に「いいぞ!」「よしわかった!」「これをすればいいんだな!」と答えてはりきっている。
「こんなに大変なことをやるの……?」という状況でも、大樹のおかげで明るく前向きになれるのだ。
相手を信頼して、一切の文句を言わず全力で取り組む姿には、胸を打たれてしまう。
千空のチームには個性豊かなメンバーがそろっているが、リーダーにいつも「イエス!」という大樹の存在は大きいと感じる。
持ち味にはいいも悪いもない
『組織の違和感』(ダイヤモンド社)という書籍に、「『イエスマン』も持ち味のひとつ」と書かれていた。
事例として、製造業大手のベテラン社員である山田さんの話が載っている。
山田さんは持ち前の「イエスマン」ぶりで順調に出世したが、部長になった途端に総スカンをくらい、降格させられてしまったという。
本書の著者であり組織開発コンサルタントの勅使川原真衣氏は「山田さんの『イエスマン』というのは、彼の持ち味です。そこに良いも悪いもありません」と述べている。
山田さんの「わかりました」と言って何でもすぐやる持ち味は、若手時代にはとても重宝されました。組織として助かったこともたくさんあったでしょう。フォロワーシップも、チームにとってれっきとした「必要な機能(持ち味)」なのです。
――『組織の違和感』p.159より
ただ、この持ち味はリーダーシップを発揮しなければならない場面では難しさにもなり得る。
だからこそ、上司や人事が持ち味を把握して、メンバーに伝えてあげることが大事だという。
ただ辞令だけ出してほったらかしというのは、無責任なことです。このケースでも、もしほかに山田さんをフォローする役割の人がいたら、状況は変わっていたのではないでしょうか。
――『組織の違和感』p.161より
「イエスマンはリーダーに向いていない」と単純に切り捨てるのではなく、配置や組み合わせを工夫することで、メンバーの良さが発揮できる組織が作れるのではないだろうか。
(本稿は、『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』の発売を記念したオリジナル記事です)
小川晶子(おがわ・あきこ)
大学卒業後、商社勤務を経てライター、コピーライターとして独立。企業の広告制作に携わる傍ら、多くのビジネス書・自己啓発書等、実用書制作に携わる。自著に『文章上達トレーニング45』(同文館出版)、『オタク偉人伝』(アスコム)、『超こども言いかえ図鑑』(川上徹也氏との共著 Gakken)、『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』(サンマーク出版)がある。

「好き嫌い」や「やる気」、
「あうんの呼吸」に頼らず
組織を機能させるための具体策!
対話より先に、やるべきことがある。
「大丈夫です」のひとことでモヤッとしたとき、
待ちの姿勢ばかりの部下に自走してもらうにはどうしたらいいのか、
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えるための効果的な伝え方は?……
ビジネスの現場に尽きないコミュニケーションの悩みを、「マネジメント」のスキルとして、「3段階」に分けて打ち手を授けるのが本書です。
まずは土台となる「観察」のスキルを紹介。ここでは、違和感に着目するというユニークな手法をとります。
そして、「自分を知る」「相手を知る」「組み合わせる」の3段階で、関係性から組織の最適解を導き出します。
自分と相手の「持ち味」を知り、
組織をつなぎ直すための一手を
この3段階を経て、違和感を乗り越えるための伝え方や振る舞い方を具体例とともに紹介します。
スキルといっても、難しいものではありません。「あれ、今なんか変だったな」という気づきを、手がかりにつかむこと。
さらに本書では、「持ち味」を知るためのいくつかの診断も掲載。すぐにチームに実装できるような作りにしています。
事前に特別な準備や学習はまったく不要。やるべきことが明確になり、現場のもやもやがクリアになります。
いつでも「今ここ」での気づきから組織を改善できる。行き詰まった状態を打開する新鮮な方策が詰まった、忙しいリーダーの支えになる一冊です。

本書の内容
はじめに
ギリギリな組織の頼みの綱は
人それぞれが「正しさ」を生きている
「持ち味」の組み合わせと「解釈」のクセ
第1章 違和感とは何か? ―― 「決めつけ」が横行する現場で
観察の達人!? コナンくん
仕事に本音はいらない
「なんか変な感じ……」の正体
人はみな「違う色のメガネ」をかけている
「職場のすれ違い」は決めつけから生まれる
とにかくみんな疲れている
すべてのコミュニケーションの基本となる「観察」の3ステップ
第2章 「自分を知る」 ―― 違和感に気づくと「自分」がわかる
自分の本音がわからない
変えられない性質は確かにある
手がかりは「どうしてもとりつくろえない瞬間」
「わかってほしかった」は「解釈のクセ」が生み出している
「自分が知らない自分」はスマホが教えてくれる
第3章 次に、「相手を知る」 ―― 人間関係の違和感から「相性」を知る
「伝える」の前に「見る」がある
「言わなくてもわかるでしょ」はマネジメントの怠慢
相手の何を「見る」のか? ―― ソーシャルスタイルの4類型
「他者の合理性」を知るヒント
「人それぞれ」では話が進まない
第4章 そのうえで、「組み合わせる」 ―― 違和感を役立て最高の組織をつくる
「今いるメンバー」で最高のチームをつくる
「好き嫌い」より「相性」を考える
それは「評価」ではなく「評判」です
「自分でやったほうが早い病」への処方せん
「似た者同士」がうまくいくとは限らない
職場は「ドレッシング状態」にならなくていい
個人と組織のサンドイッチ作戦
第5章 違和感を乗り越えるための話し方・振る舞い方
役割の実行を後押しする「面談」「相談」「雑談」「対話」
「大丈夫です」の複雑さ
「よかれと思って」が残念なワケ
待ちの姿勢ばかりの部下に「自走してほしい」と伝えたい
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えたい
コミュ力が高い人の「真の使命」は、相手に合った手段を選ぶこと
危うい場面で役に立つ「否定しない技術」
会議時間を短縮すれば「生産性」が高まるのか?
「困っている人」は「決めつけていない人」
第6章 「いてくれてありがとね」から始める組織改革
「いい人材がいない」と嘆く人は組織の価値を見落としている
「重すぎない信頼関係」のススメ
「健全に疑う」のススメ
100点を取ってきた子どもに「偉いね」と言ってはいけない理由
100%わかり合うことは無理、それでも「訂正」し合うことはできる
「自分のまま働く」ために
解説 ―― 坂井風太