トランプ関税は「政治的威嚇手段」に変質、産業政策としての“失敗”は明らかPhoto:Anadolu/gettyimages

グリーランド領有でNATO諸国に高関税
一転して「撤回」も今後もあり得る「威嚇」

 ドナルド・トランプ米大統領は1月19日、アメリカのグリーンランドの領有に応じない、北大西洋条約機構(NATO)加盟国に2月から追加関税を課すと発表した。

 対象はグリーンランドを自治領とするデンマークのほか、領有に反発するスウェーデン、オランダ、フィンランド、ノルウェー、英、独、仏の8カ国として、期間はアメリカによるグリーンランド購入がまとまるまでとした。

 この前代未聞の措置に対して、8カ国の首脳やEU委員長は強い抗議声明を発表した。また、グリーンランドやデンマークの首都・コペンハーゲンでは、住民による抗議デモが行われた。

 この事件は、トランプ大統領の関税政策が、経済政策から政治的威嚇手段へと変質したことを明確に示している。

 トランプ大統領は21日には、一転して欧州8カ国への追加関税を取りやめると発表、スイスでの世界経済フォーラム(ダボス会議)の演説では、軍事力によるグリーンランド併合は考えていないと述べた。

 関税賦課撤回の理由を、グリーンランドを巡りNATOとの間で「将来の合意の枠組みに達した」としているが、真相ははっきりせず、グリーンランド問題では威嚇もただの威嚇だけに終わった。

 だが今後も、トランプ大統領が政治的威嚇手段として高関税賦課を持ち出すことは十分にあり得る。

 トランプ関税政策はなぜ変質を余儀なくされたのか? そして、それにもかかわらず、トランプ氏はなぜ関税にこだわり続けるのか?