トランプ「ドンロー主義」は欧州や東アジアの秩序を変える!?日本に必要なアジアでの自立外交Photo:Tom Brenner/gettyimages

「べネズエラ軍事攻撃」の衝撃度
NATO体制や日米、米韓同盟にも波及!?

 トランプ第2期政権は2026年、2年目に入ったが、新年早々、世界に衝撃を与えたのが、ベネズエラへの軍事侵攻だった。

 米軍機が首都カラカスなどで大規模攻撃を実施、マドゥロ大統領夫妻を麻薬密売などの容疑で拘束、米国内に連行した米国の行動は、ベネズエラの主権を侵害する明白な国際法違反であり、ロシアや中国に繰り返し主張してきた「力による現状変更を認めない」という原則的立場を踏みにじったことだけではすまない問題だ。

 その後も、トランプ大統領はデンマーク自治領のグリーンランド領有に向け具体的に動き出し、1月17日には、領有に反発するデンマークや仏独英など欧州8カ国に対して追加関税を課すと表明した。

 一連の行動は西半球に支配権を確立するという米国の新たな国家安全保障戦略の一環であることが明らかになるにつれ、世界は大きな戸惑いを隠せない。

 トランプ大統領は米国の力を規制するのは国際法ではなく、唯一「自身の良心である」と述べ、米国の行動に対する世界の懸念は強まる。11月の中間選挙に向けトランプ大統領の支持率は下落しており、焦りは大きいのだろう。

 だがそれにしても、トランプ大統領の行動は前のめりであり過激だ。新たな国家安全保障戦略はトランプ大統領によるモンロー主義、すなわち「ドンロー主義」と名付けられており、米国は西半球を重視し、グリーンランドや南北アメリカから麻薬や不法移民、さらにはロシアや中国の脅威を取り除くとする。西半球の支配権を確立することが最大のプライオリティーだとしている。

 これは第二次世界大戦後に米国が構築した欧州でのNATOによる集団的自衛体制、東アジアでの日米や米韓という二国間条約による安全保障体制に重大な変更をもたらすことになる懸念がある。