それぞれの細胞が、それぞれの細胞の働きをすることで、私たちの命は保たれているのだ。
ところが、植物は違う。
植物は、たった1個の細胞でも生きていくことができる。
もちろん、植物にも根や葉っぱといった役割分担がある。ところが、葉っぱの細胞を取ってきても、やがて根が出て、ひとつの植物に再生する。
植物は1つ1つの細胞が、生命体として独立している。そのため、一部を切り取って、挿し木や挿し芽をしても、元の植物に再生することができるのだ。人間には、そんなことは、とてもできない。人間の細胞は、助け合わなければ生きていけないのだ。
優秀なネアンデルタール人も
単独では生き残れなかった
動物の中でも、私たちホモ・サピエンスは特別な存在だ。
ホモ・サピエンスに近い人類にネアンデルタール人がいる。ネアンデルタール人は、ホモ・サピエンスよりも力が強く、知能も高かったと推察されている。しかし、ネアンデルタール人は滅び、我々ホモ・サピエンスは生き残った。
何故だろうか?
ネアンデルタール人は、単独で生きていく能力に優れていた。一方、ホモ・サピエンスは、ネアンデルタール人よりも弱い存在だったため、寄り添って助け合って生きていた。そして、結果として協力し合うホモ・サピエンスが生き残ったと考えられているのである。
その後、ホモ・サピエンスはさらに集まってムラを作り、クニを作り、助け合う社会を高度に複雑化させていった。そして、現代の文明社会が築かれたのである。
私たちの体の仕組みに比べれば、及ぶべくもないが、私たちの暮らす社会は助け合う社会なのである。
『私たちはどう老いるか』(稲垣栄洋、小学館)
人間は、ひとりでは生きていけない。
別に誰もが仲良く生きていく必要はない。
みんながいっしょである必要もない。
誰が優れていて、誰が劣っていると比べる必要もない。
強者とか弱者とかの区別もいらない。
それぞれがそれぞれの役割を果たし、どこかの誰かが別のどこかの誰かの役に立っている。それが、私たちホモ・サピエンスが作りだした世界なのだ。
まぁ、そう思わないとやっていけないということでもあるけれど……。
念には念を入れて、カメムシをもう1匹助けておこうかな。







