リビングでリラックスする親子写真はイメージです Photo:PIXTA

社会保険料の負担増や、年金制度をめぐる不公平感を理由に、世代間の対立が進む昨今。高齢者は本当に社会のお荷物なのか。60歳を目前にした大学教授の筆者は、死を意識するなかで改めて「老い」に向き合った。生物学と人類史の視点から見えてきた、老いることの社会的意味とは?※本稿は、静岡大学教授の稲垣栄洋『私たちはどう老いるか』(小学館)の一部を抜粋・編集したものです。

『竹取物語』のおじいさんが
自分より年下と知ってのけぞった

 昔話の「かぐや姫」は、もともとの話は平安時代に記された『竹取物語』である。竹取物語は現存する日本最古の物語である。

 竹取の翁と呼ばれるおじいさんが光り輝く竹を見つけ、その中に小さな女の子を見つける。そして、おじいさんとおばあさんに育てられたかぐや姫は、最後には月に帰ってしまうのである。

 日本最古の物語にしては、何とファンタジーに満ちていて壮大な物語だろう。

 ところで、竹取物語には、「竹取の翁」と呼ばれるおじいさんが登場する。

 このおじいさんは、何歳くらいなのだろうと興味本位で調べてみて驚いた。

 こんなSFのような物語に登場して、「翁」と呼ばれているくらいだから、仙人のようなおじいさんかと思っていたら、物語には50歳と書かれているという。この話を聞いたときはのけぞった。竹取の翁は、私より年下だったのだ。

 それにしても、竹の中から女の子が生まれるというのは、本当に不思議である。

 確かに、竹の中には小さな女の子が入るくらいの空洞がある。

 竹には節目がある。

 そして、この節と節とが空間を支えているのである。

 竹はしなやかによく曲がって、簡単に折れることはない。

 竹は節目があるから、強いのである。