一から、まったく新しい仕事を覚えるなんて、私にはかなり難しい作業だ。
もっとも尊敬しているのは、外国人の店員だ。
世界でも難しい言語である日本語で接客している姿は、感動さえ覚える。私がどこか知らない外国でコンビニ店員をやれと言われたら、初日で絶望するに違いない。
自分にとっては能力的に
できそうにない仕事が多すぎる
そんな働く人たちの姿を見ると、私も頑張ろうと思える。
コンビニ店員は、まさか大学教授である私が自分のことを心底尊敬しているということに気が付いていないだろう。勇気を与えているというつもりもないだろう。
思い切って、おにぎりを買うときに「私はあなたを尊敬しています」と告白してもいいのだが、不審者扱いされて、通報されてもいけないので、黙っておつりを受け取っている。
もっとも、見回してみると、他にも私ができそうにない仕事は多い。
スーパーのレジもなかなかすごい。すばやくバーコードを読み込んでいくのも見事だけれど、買い物カゴにすき間なく詰め込んでいく能力はすごい。しかも、重たいものは下に、軽いものは上に詰め込まれていく。よほど優れた空間把握能力の持ち主なのだろう。
重たい荷物を持って階段を駆けあがってくる宅配便の配達員もとてもできそうにない。そもそも、住所と道を覚えることから、できそうにない。
パン屋の店員は、値札がついているわけでもないのに、さまざまな種類のパンの値段をレジに打ち込んでいくのは、本当に感心するし、暑い中、赤旗と白旗を巧みに振り分ける交通誘導員の集中力にも感心させられる。
高所恐怖症なので、ビルを造ったりするような仕事はとても無理だ。それどころか、屋根に上ったり、電柱に上ったりする仕事も勘弁願いたい。
大学教授だと威張っていても、他の仕事はまるでできそうにない。そう言うと、大学教授の仕事はできているように誤解されるかもしれないが、本当は大学教授の仕事も満足にはできていない。
世の中で働くすべての人に
敬意を抱かずにはいられない
権威を保つために、学生たちの前ではブラックコーヒーが好きだとうそぶいているけれど、本当はミルクと砂糖がたっぷり入った甘いコーヒーが好きだ。







