中学受験に向けて勉強しているのに、どうしてもやる気が続かない。そんな悩みを抱える親は多いだろう。本書『男の子の学力の伸ばし方』が示すのは、テクニック以前に「家庭での親のあり方」が学力を大きく左右するという事実だ。親がどう振る舞えば、男の子は「自分から」勉強に向かうのか。本連載では、本書の内容から、子どもの計画・理解・反復・習慣のプロセスを体系化した「男の子の特性」に基づく学習法をお伝えしていく。(構成:ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)
Photo: Adobe Stock
子どもはすでに「戦場」に立っている
男の子の学力を考えるとき、多くの親は「やる気」や「才能」の問題だと捉えがちである。
しかし、本書がまず指摘するのは、子どもが置かれている精神的な環境の厳しさだ。
現代の小学生、とりわけ中学受験を控えた男の子は、親が想像する以上のプレッシャーを背負っている。
その事実を理解することが、すべての出発点になる。
中学受験をするとなれば、子どもなりに相当のプレッシャーと戦っているんだということを、まず親は理解しなければなりません。(『男の子の学力の伸ばし方』より)
この前提を欠いたまま、「もっと頑張れ」「努力が足りない」と声をかけても、男の子の心には届かないだろう。
むしろ、理解されていないという感覚が、学習意欲を削いでしまう可能性すらある。
本書には、親がすべき最初の役割は、叱咤激励ではなく子どもの戦いを理解する姿勢を示すことだと書かれている。
言葉より効くのは、父親の背中
男の子は、親の言葉よりも行動をよく見ている。
本書で象徴的に語られているのが、リビング学習の場面だ。
子どもが机に向かっている横で、親が酔ってだらしなく振る舞っていては、「勉強を頑張れ」という言葉に説得力は生まれない。
それが理解できていれば、子どもがリビング学習をしている横で、酔っ払ってくだを巻くことなどできないはずです。(『男の子の学力の伸ばし方』より)
著者は、週末のカフェで勉強する子どもの前で、父親がノートパソコンを開いて仕事をしている光景を紹介する。
そこには、「親も一緒に戦っている」という無言のメッセージがある。
疲れて家で休みたい気持ちがあったとしても、目の前で真剣に働く父親の姿は、男の子にとって誇りであり、将来像の原型になる。
学歴ではなく「まねしたい生き方」
本書が一貫して伝えるのは、親の学歴や職歴は本質ではないという点だ。重要なのは、子どもがその姿を見て「こうなりたい」と思えるかどうかである。
医者の子どもが医者になりやすい理由も、頭の良さや経済力以上に、患者と向き合う姿への尊敬が影響していると、著者は述べている。
男の子にとって父親は、最も身近で、最も影響力の強いロールモデルだ。
だからこそ中学受験が終わるまでは、「お父さんのようになりたい」と思われる存在でいることが、学力を伸ばす土台になる。
親がだらしないまま、子どもに努力だけを求めるのは無理な話だ。本書のこの指摘は厳しいが、極めて現実的である。
親が変われば、家庭の空気が変わる。家庭の空気が変われば、男の子の学び方も変わる。
その積み重ねが、結果として学力の伸びにつながっていくのだろう。



