国語が苦手な小学生の男の子は多いようだ。これには脳の発達が関係している。言語能力を司る左脳の発達が遅れる男の子は、長文読解ができるようになるのに時間がかかる。そんな男の子にとっても、無理なく国語力をアップさせる方法を教えてくれるのは、首都圏の有名中学に合格者を多く出している進学塾VAMOS代表の富永雄輔氏だ。この記事では、富永氏の著書『男の子の学力の伸ばし方』から、家庭でできる「男の子の国語力アップ法」について紹介する。(構成:小川晶子)

男の子の学力の伸ばし方Photo: Adobe Stock

男の子が国語が苦手になる理由とは

 国語が苦手な小学生は多いと聞く。とくに男の子。筆者の息子も、算数と理科が得意で、国語が苦手だ。

 かつて国語が得意だった母親からすると、「なぜちゃんと文章を読まないのだろう?」「なぜもう少しまともな文章が書けないのだろう?」と不思議に思ってしまうのだが、男の子の脳の発達から言って仕方のないことらしい。

 女の子は右脳と左脳がバランスよく成長していくのに対し、男の子は右脳ばかりが発達し、左脳の成長が遅れる。左脳は言語能力を司っている。

 VAMOS代表の富永雄輔氏は、「男の子は国語が苦手で当たり前であり、好きな算数や理科をどんどん伸ばしていくことが大切」と述べている。

 VAMOSは、首都圏の有名中学への合格率トップクラスを誇る進学塾。中学受験にチャレンジする子たちにとってはとくに、苦手科目克服に時間を割くよりも得意を伸ばしたほうが合格に近づくということだ。

 男の子の言語能力は未発達なのだとわかると、漫画と図鑑しか読まない小学校中学年の息子の現状にも納得がいく。

 自分が小学生の頃に読んでいた文学作品などを読ませようとするのは、「まだ早い」のかもしれない。

 とは言え、国語力はすべての教科の土台でもある。文章を読むことができなければ、どの教科であろうと問題文を理解することができない。

 本書には、算数・国語・理科・社会の「必修4教科」の勉強法が掲載されているが、その中から国語の勉強法について3つほど紹介したい。

1. 日常会話の中で「多様な語彙」を使う

 読解力が欠如している大きな原因は「語彙不足」だ。

 男の子に限らず、今の子どもたちは多様な言葉に触れる機会が少ない。ゲームやYouTubeなどの影響で、限られた言葉を頻繁に使っている。

子どもたちの語彙はどんどん減っていると痛感しています。「大みそか」という言葉を知らなかった子どももいるくらいです。
英単語を知らなければ英語の文章を読むことができないように、日本語の語彙が少なければ長文読解は無理なのです。(P.180)

 それでは、どうやって語彙を増やすか。

 富永氏は「もっと子どもといろいろな分野について、多様な言葉を使っておしゃべりしてほしい」と述べている。これは本当に大事なことだと思う。

 さらに、男の子向けに「マンガやテレビでも言葉を学べる」ことを伝えてくれているのが嬉しい。

 たとえば『ポケモン』のマンガを読んでいる子なら、『キングダム』にしてみる。仮面ライダーや戦隊シリーズを見ている子なら、『サザエさん』にしてみる。このようなことでも、語彙力のアップにつながるらしい。

 これならぐっとハードルが下がって、すぐにできると感じられる。

2. 音読をする

 国語で大切なのは、長い文章をたくさん読むことだという。

とくに、男の子は普段からあまり読書をしないので、なおさら「読む」訓練をさせたいところです。ただし、難しい本を与えると拒絶感が先に立って逆効果です。最初は、子どもがすすんで読みたがる内容のものがいいでしょう。たとえば、野球が好きな子どもなら、有名選手の手記や、野球の解説書でもかまいません。
大事なのは、それを親の横で音読させることです。(P.182)

 確かに、好きな本なら喜んで音読してくれる。これもハードルは高くない。

 音読をさせると、言葉や文章をちゃんと理解できているかどうかわかる。おかしなところで区切ったり、言葉を間違えて言ったりしていれば、正してあげることができるだろう。

 音読に慣れてくると、正しい文節で区切って読むことができるようになり、黙読でも速く正しく読めるようになる。

3. 正しい日本語を書き写す

 VAMOSでは、正しい日本語を書ける大人に育ってもらうために、正しい文章をひたすら書き写す学習を行っているそうだ。

 たとえば次のような文章をそっくりそのまま書き写させる。

「着ていく服を『どれにしようかな』と迷っていたら、時間がなくなって朝食を食べられませんでした。そのため、私はすでに空腹に耐えかねています。」(P.187)

 読点が抜ける、かぎかっこを無視する、漢字をひらがなにしてしまうなど、正確に書き写せない子が必ずいるという。

こうした間違いをせずに速く正しく書き写せる子どもは偏差値も高いのです。(P.187)

 短い文章を書き写すだけなら時間もかからず、家庭でも簡単に取り入れることができる。そして、これは効果が高いに違いない。

 以上、国語の苦手な男の子に取り入れやすく、効果が高いと思われる勉強法を本書から3つほど紹介した。

 少しでも国語力をアップさせたい方は、実践してみてはいかがだろうか。