開成・麻布・灘・筑波大駒場・渋谷幕張…。東京・吉祥寺の進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないのに有名難関校に続々合格させると話題の塾だ。男女別カリキュラムを取り入れたロジカルで科学的な学習法は、保護者から圧倒的な支持を集めている。本連載では、VAMOSの学習メソッドが凝縮されたロングセラー『男の子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)から、子どもの計画・理解・反復・習慣のプロセスを体系化した「男の子の特性」に基づく学習法をお伝えしていく。
「割合」「速さ」「比」で学力に差が生まれる
小学校5年生になると、算数の授業で「割合」「速さ」「比」という非常に重要な概念が連続して出てきます。
割合は、「35%OFF」「打率3割」など。速さは、「時速70キロ」など。比は「男女比2:3」など。いずれも、私たちの日常生活に欠かせない概念です。
新しいことがいきなりまとまって出てくるため、算数が苦手な子は逃げ出したくなるでしょうが、ここで踏ん張って勉強することがとても大事。
中学入試の算数の問題に絶対に出てきますし、理科も、これらの概念がないと解けない問題が多いのです。
さらには、中学以降の数学や理科においても、こうした基礎がないと理解できないテーマが増えていきます。大人になってからの社会生活でも仕事の現場でも同様です。
言ってみればケーキのスポンジにあたる土台であり、たとえ中学受験をしなくても、スルーしてはならない分野です。
ところが、いわゆるゆとり世代では、こうした学習は軽視されてきました。そのため、彼らがよく行くショップでは、不思議な表示を見かけます。
たとえば、定価7000円のジャケットを40%引きで売るときに、「定価7000円」の表示タグに「40%オフで4200円!」と全部書いてあります。
以前は「40%オフ」だけしか書いてありませんでした。「40%オフなら、定価に0.6を掛ければ値段が出る」ということくらい、みんなすぐにわかったからです。
ところが、彼らは、その頭がなかなか働かないのです。これは大問題です。
一般的なビジネスでは、お金の交渉がつきもの。「15%割引のところを20%まで引けませんか?」と言われて、いちいちスマホのアプリで損益ラインを計算しているようでは「使えない」人になってしまいます。
美容師さんが毛染めの薬剤を混ぜるときにも割合は必要だし、タクシーの運転手さんも、「時速80キロで1時間かかる距離だけど、60キロしか出ていないから1時間20分はかかるな」と瞬時に計算しています。
これらは、読み書きそろばんくらいに大事な概念。子どもの将来を考え、なんとしても身につけさせておきましょう。