日本の従属人口指数
(15歳未満人口+65歳以上人口)÷(15~64歳人口)×100

日本経済を悩ませる人手不足を単なる人口減少だけで説明することはできない。もし人口減少が世代をまたいで均等に生じていれば、需要と供給も並行して減少するため、人手不足は発生し得ない。ところが現実には、少子高齢化によって食べる口はあまり減らず、作り手だけが激減している。だからこそ需給バランスが崩れ、人手不足が常態化しているのだ。
これを端的に捉えるのが「従属人口指数」だ。(年少人口+老年人口)÷生産年齢人口で算出されるように、「働く100人当たりが支える子どもと高齢者の数」を示す、まさに人手不足の代理変数である。
従属人口指数は、団塊世代の引退を背景に、1992年の43.3から2021年の68.5へと、急激に上昇した。その後は高原状態が続いているものの、団塊ジュニア世代が高齢期を迎える30年代から50年ごろにかけて、再び加速度的に上昇することが予想されている。
需給バランスの崩れは、労働市場だけの問題ではない。というのも、国内で「食べる口」に見合う作り手が足りず、不足分は海外から輸入するしかないからだ。結果として貿易収支黒字は消失し、慢性的な赤字へと突入した。貿易赤字は実需の円売りを意味する。かつて日本企業を苦しめた円高は、今や家計を苦しめる円安へと姿を変えたのだ。
円安が進めば、需給バランスの逼迫と相まって、国内でもインフレが加速する。特に生活必需品は「買わない」という選択が難しく、需要の価格弾力性が低い。生活必需品の需給バランスが崩れると、コメ価格に象徴される通り、価格は直線的ではなく、ある時点から非線形に暴騰する。仮にコメ価格の問題が収束しても、少子高齢化に伴う需給バランスの崩壊というマクロの原因は残るため、インフレ圧力は深刻化の一途をたどる。
家計を苦しめるインフレに対して短期的に効きやすい政策は、総需要を抑制する緊縮財政である。しかし、それもしょせん“痛み止め”にすぎない。日本の窮乏化を止める上で、唯一にして最大の根治療法は、少子化対策を徹底することに他ならない。
(みずほ証券エクイティ調査部 チーフエコノミスト 小林俊介)







