働いても働いても税金と物価高でチャラ…「10年で500万円」も節税できる“4つの方法”写真はイメージです Photo:PIXTA

物価上昇や住宅ローン金利の上昇が家計を圧迫している。収入を増やすことは有効な対策だが、税金や社会保険料の負担増という落とし穴に気づいていない人は多い。インフレ時代を賢く乗り越えるために知っておくべき節税対策を、具体的なシミュレーションとともに元国税専門官でライターの筆者が解説する。(元国税専門官 小林義崇)

インフレ時代は「稼ぐ」だけでは足りない

 日本経済は、長く続いたデフレ局面を抜け、インフレが定着しつつあります。コロナ禍が明けた2022年以降、消費者物価は上昇基調が続き、おおむね2%の伸びを示しています。食料品やエネルギー価格を中心に、生活コストの上昇を実感している人も少なくないでしょう。

 物価が上昇すれば、手元に置いてある現金の価値は相対的に下がっていきます。

「去年は10万円で買えたものが値上がりし、今年は10万円では買えない」といったことが、生活のさまざまな場面で出てくるはずです。

 さらに、日銀の金融政策の転換を背景に金利も上昇していますから、住宅ローンなどの返済負担が増えているケースも見られます。

 このような環境下では、「収入を増やして物価上昇に対応する」という発想は合理的です。インフレの局面では賃金上昇や株価上昇を伴うことが多く、働き方の見直しや資産運用の見直しによって家計を改善できる可能性があります。

 しかし、見落としてはならないのが税金と社会保険料の問題です。

 収入が増えれば、所得税・住民税だけでなく、社会保険料の負担も増えます。一方で、物価上がったからといって税金や社会保険料が自動的に軽くなるわけではありません。

 たとえば年収500万円の会社員(※単身・扶養家族なし・協会けんぽ加入と仮定)が、年収600万円に増えた場合、所得税と住民税だけで年間13万円前後の負担増になります。

 社会保険料の負担も含めると、収入が100万円増えても手取りの増加は60万〜70万円程度にとどまるのが一般的です。

 そのためインフレ時代には、「収入を増やす努力」と同時に、制度を理解したうえで「取られすぎない工夫」が欠かせません。

 現状、会社員が社会保険料を下げる手段はほとんどありませんが、税金については合法的に負担を抑える方法が存在します。

 そこで今回は、インフレ時代に押さえておきたい基本的な4つの節税対策を、具体的な数字を交えながら解説していきます。