元国税専門官が「サラリーマンこそ必見」な4つの節税策を厳選!税負担に大差写真はイメージです Photo:PIXTA

サラリーマンにとって、「節税」はあまり縁のないことと思われるかもしれない。個人事業主のように毎年確定申告を行うことがなく、税金の手続きはほぼ会社任せにできるので、あまり税金の仕組みを学ぶ機会がないからだ。しかし、給与収入が上がらない中、税金などの負担が増えている。節税の知識差が税負担に直結しやすくなっていて、最低限の節税策を押さえなくてはいけない時代だ。(元国税専門官 小林義崇)

今、サラリーマンが節税を考えるべき事情

 日本のサラリーマンは税金の手続きを会社任せにできるため、税金の仕組みに疎くなりがちです。しかし、給与収入も上がらず、税金は上がる一方の日本で、サラリーマンも税金の仕組みに無頓着ではいられない時代がすでに来ています。

 国税庁が発表した「令和2年分民間給与実態統計調査結果について」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は「433万円」でした。この数値は1992年の水準を下回っています。

 給料だけでなく、退職金も下がり続けています。厚生労働省の調べによると、2003年の大卒者の定年時平均退職金額は、2499万円でした。ところが、その後の推移を見てみると、2280万円(2008年)、1941万円(2013年)、1788万円(2018年)と激しい減少を見せています。

 このようにサラリーマンの収入が減少傾向にある中、逆に増加傾向にあるのが税金と社会保険料の負担率(国民負担率)です。2023年度の国民負担率は46.8%の見通しであり、税金と社会保険料が収入の半分近くを占める状況となっています。

 さらに気になるのは、近年は特に高所得のサラリーマンをターゲットにした税制改正が相次いだことです。サラリーマンの税負担に直結する給与所得控除について、2012年までは上限がなかったのですが、2015年に給与所得控除額の上限が245万円、年収1500万円を超えると控除額が一切増えない形になりました。その後も給与所得控除の改正は続き、2020年には控除限度額が195万円、適用される年収は850万円で頭打ちになるなど縮小されています。

 こういった傾向から、節税のための行動を何も起こさずにいると、税負担は自然と増えてしまうことは明らかです。サラリーマンが活用できる節税策の数には限りがありますが、やるかやらないかで、生涯の税負担は大きな差になります。

 そこで今回は、節税の基本的な仕組みとともに、特に効果的な4つの節税策をお伝えしたいと思います。