教育費が加われば、月10万円の赤字に
ご夫婦は「今は黒字だから問題ない」と考えていましたが、この固定費増加は、これから始まる教育費と確実にぶつかります。収入115万円、支出100万円で月15万円の黒字があっても、学費とアフタースクールで25万円増えれば、月10万円の赤字になります。
その赤字を補填したいボーナスは、すでに頼れる状態ではありません。となると、貯蓄を取り崩すしかなく、今のままでは確実に貯金が減っていくと予測できます。変動費を削ればいい、と考えても、仕事上の付き合いや自己研鑽などで支出を減らす余地はほとんどないとのことでした。
足りない分は投資で増やせばいい、個別株なら少し経験がある、とも話されました。しかし、生活費の不足を投資で補おうとするのは本末転倒です。個別株投資は成功すれば大きなリターンもありますが、再現性は低く、安定的な解決策にはなりません。積立投資で土台を作るという提案にも、あまり耳を傾けてもらえませんでした。
同時に進めてしまった選択の代償
阿川さんご夫婦を見て感じたのは、ひとつひとつの選択自体は間違っていないのに、優先順位を整理しないまま同時に進めてしまったことです。住宅、車、子どもの学校。どれを最優先にするのかを決め、順番を考えていれば、状況は大きく違っていたはずです。
例えば、教育を優先するなら住宅購入を先送りする、住宅を買うなら車は貯蓄ができてからにする、そもそも学校の選択が本当に最適なのかを再検討する。考える余地はいくらでもありました。
もう一つ大切なのは、外からの意見を一度受け止めてみる姿勢です。せっかく「相談に来る」という行動がとれたのですから、アドバイスをそのまま採用しなくても、「そういう見方もあるのかもしれない」と考えてみてほしいと思います。それを習慣にできると、さまざまな情報から自分自身を客観的に判断し、より有効な選択ができる材料の一つにしていけるはずです。
収入が多い人ほど情報収集に熱心で、自分なりの信念を持っていることも少なくありません。ただし、情報の取捨選択を誤ると、このような「お金が残らない選択」を重ねてしまいます。お金は「今」だけを見るのではなく、ライフプランとして線で捉え、将来への影響を考えながら使っていく必要があります。
せっかく稼いだお金を、結果的に苦しくなる使い方にしてしまわないよう、立ち止まって考えることの大切さを、改めて感じさせられた事例でした。選択の順番を見直すだけでも、家計の行方は大きく変わります。もし、「収入があるはずなのに苦しいのはなぜ?」と悩んだら、“順番”を意識することで解決策が見つかるかもしれません。







