えっ、吉沢亮はこのまま退場!?ドライすぎる「友との別れ」に込めた制作意図〈ばけばけ第95回〉

「理由はとてもシンプル」「簡単な話だ」

「クワイエット!」

 ヘブンは大きな声で制す。

「理由はとてもシンプル。これが人生だから。1年と少し光栄でした。ありがとございます」

 ヘブン、情熱的だし、やさしさもあるけれど、時々、こんなふうにやけに乾いている。

 教室の後ろで聞いている錦織(吉沢亮)のうなじが、第94回から続いて物悲しい。

 お知らせはまだあった。庄田が次の校長になるというのだ。これはヘブンも知らなかったことで、教室は大騒ぎとなる。

「静粛に」と声をふり絞る錦織。

「簡単な話だ。わたしは帝大を出ていない」と告白する。

「簡単な話だ」はヘブンの「理由はシンプル」と合わせているように感じる。

「私は残念ながら落ちてしまった。帝大卒業はもちろん、英語の教員資格免許すらもっていない。そんな男が校長になれるわけない。簡単な話だ。だましていて申し訳なかった」

 2度繰り返した「簡単な話」。この言葉が胸をつく。

 ヘブンはシンプルに、松江との別れを決めた。このシンプルさが、錦織の心を深く傷つけたのではないだろうか。なにしろ、ただの通訳のように言われたときもかなり傷ついていたから。

 どうせ簡単に切り捨てられるんだと、自分なんてとるに足らないと思ったのではないだろうか。錦織はあまりにもナイーブ過ぎる。

 去っていく錦織をヘブンが追いかける。

 ヘブンが(校長の件を)なんとかすると言うと、「そんなことじゃないんで」と、ずぶぬれで去っていく錦織。

 悲しいかな、ヘブンは錦織の気持ちをわかっていない。ヘブンが松江を去るなら校長になる意味なんて錦織にはないのだ。

 明治24年(1891年)11月15日、出発の日。桟橋。多くの人が見送りに来ているが、錦織は来ない。

 トキは錦織に会いに行こうとヘブンの手を引っ張る。

「大丈夫
 もう、大丈夫
 別れる しました」

 なんだか恋人同士の別れのような感じがする。