【社説】米国の縁故社会主義とレアアースPhoto:Alex Wong/gettyimages

 ジョー・バイデン氏の大統領任期中に、政権関係者が友人や親族と関係がある企業の株を政府に買わせていたら、共和党員たちは何と言っただろうか。ドナルド・トランプ米大統領のチームがしていることはそれと大差ないが、政治的批判はほとんどない。国家資本主義と縁故政治が最近流行している。それが失敗に終わることは歴史が示しているにもかかわらずだ。

 米商務省はこのほど、USAレア・アース社に対して13億ドル(約2000億円)の融資と2億7700万ドルの資金供与を行うと発表した。その見返りとして政府は、同社株の約10%相当を株式とワラント(新株予約権)の形で取得する。同社はテキサス州でレアアース(希土類)元素17種類のうち15種類が埋蔵されている鉱山の開発を進めているほか、オクラホマ州で磁石製造工場を建設している。

 ハワード・ラトニック商務長官は「これは、米国のサプライチェーン(供給網)の強じんさの確保と、国外依存の解消を確実に進めるための投資だ」と述べた。それが実現するなら結構なことだ。テキサス、オクラホマ両州での投資は有望だが、政府の関与は米国のレアアース問題の解決策にならない上、政治的リスクをもたらす。

 中国が昨年、米国による半導体輸出規制に対する報復措置としてレアアースの輸出を制限しようとしたことを受け、中国を外したレアアース供給網の構築はますます急務になった。中国は、電子機器や自動車、医療用画像診断装置、ミサイル、戦闘機などに使われる世界のレアアースの約70%を採掘し、90%を精製している。