世界の富裕層たちが日本を訪れる最大の目的になっている「美食」。彼らが次に向かうのは、大都市ではなく「地方」だ。いま、土地の文化と食材が融合した“ローカルガストロノミー”が、世界から熱視線を集めている。話題の書『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ―ガストロノミーツーリズム最前線』(柏原光太郎著)から、抜粋・再編集し、日本におけるガストロノミーツーリズム最前線を解説。いま注目されているお店やエリアを紹介していきます。

「なんでこんな田舎に!?」世界から美食家が殺到する「地方の店」の共通点Photo: Adobe Stock

地方で成功できる店の共通点は?

 本書では、世界の富裕層がこぞって通う地方の名店とエリアを紹介していますが、読者の方の中には、クエスチョンマークが浮かんでいる方もいるかもしれません。

「田舎で店を出して、海外から人が来るほど成功できた要因は何なのだろう?」と。

 その疑問に対する私の見解をお伝えします。

 要因は、大きく2つあると思います。

「ヘンタイ」=圧倒的なカリスマがいること

 1つ目の要因は「ヘンタイ」がいることです。

 ヘンタイとは、圧倒的なカリスマを指します。損得勘定やマーケティング的な発想を超えて、自分が本当にやりたいことに突き進む人のことです。周囲の評価を気にせず、常識や流行に左右されず、純粋な情熱だけで突き抜けていく。

 その生き様が人を動かし、気づけば周囲に同じような熱を持つ人たちが集まって、ムーブメントが生まれていく。

 富山県の利賀村にある「レヴォ」の谷口シェフをはじめ、本書で紹介している5つの事例は、食の”ヘンタイ”にまつわるエピソードでした。

 かつては人口の多い都会にシェフが集まりましたが、今やヘンタイシェフは、食材の豊かな地方に移り、客が都会から来るようになったのです。

点ではなく「面」で魅力を発揮している

 もう1つの要因は、点ではなく面で魅力を発揮していることです。

 必ずしも突出したカリスマがいなくても、確固たるこだわりを持つ店や人々が複数集まれば、エリアとして魅力を形成することができます。

 本書で紹介している富山県全域や軽井沢は、それらを象徴している事例です。

 このように、成功する要因は大きく2つあると考えていますが、両者には共通点もあります。

 それは、地域に根ざした本物の食材や文化を掘り起こし、それを独自の表現で伝えていることです。

 目の前に出される皿の奥には、誰かがこだわり抜いた素材やシェフ自身の人生そのものを感じさせるストーリーがあります。だからこそ、人はわざわざ地方に足を運び、そこだけの食体験に価値を見出しているのです。

 本書の4章以降では、そのような2つの視点にもとづいて、今後、世界の富裕層が殺到するであろうという地域やお店も紹介しています。「すでに話題の店は予約が取れない」「混みすぎているのは嫌だ」という方のために、今ならまだ比較的予約を取りやすく、「発見する喜び」を感じられる次世代の美食エリアを紹介しています。

※本記事は、『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ―ガストロノミーツーリズム最前線』(柏原光太郎著・ダイヤモンド社刊)より、抜粋・編集したものです。