雪印メグミルクが製造・販売する「さけるチーズ」 Photo by Manabu Fushimi
1980年に発売された「さけるチーズ」。雪印メグミルクが製造・販売するこの商品は、発売から40年以上たった2024年に過去最高の売上高を記録するなど、今もなお成長を続けるロングセラー商品だ。その誕生のきっかけは意外なものだった。(フリーライター 伏見 学)
発売から40年超で過去最高売上高を記録
「さけるチーズ」人気の秘密とは?
爪を立ててツーッと剥くと、糸を引くようにチーズが細く裂かれていく。キュッキュとした独特の食感と、口いっぱいに広がるミルキーな味わい。きっと誰もが一度は口にしたことがあるだろう、あの棒状のチーズ――。
雪印メグミルクが製造・販売するこの「さけるチーズ」は、市場シェア率およそ9割を誇り、売り上げは過去最高を更新中というロングセラー商品だ。実数値は非公表だが、2024年の売上高は前年比107%を記録した。1980年の発売から46年間、大きな浮き沈みもなく右肩上がりで順調に推移してきたという。
雪印メグミルクの「さけるチーズ」。一番人気のフレーバーはこのプレーンだ Photo by M. F.
今では他社も同様の商品を販売しているものの、大半の消費者にとって、あの形状のチーズは「さけるチーズ」という固有名詞として記憶されている。スーパーマーケットの売り場で子どもが「さけるチーズ買って」とねだる光景を目にする機会もある。ブランド名が商品カテゴリーそのものを指す言葉になる、これはマーケティングにおける究極の成功例といえるだろう。
確かに先行者利益による恩恵は大きい。だが、長く売れ続けるのはそう簡単なことではない。
食品業界においては、消費者の嗜好の変化、競合商品の参入、原材料価格の高騰など、さまざまな要因でブランドの地位が揺らぐことは珍しくない。さけるチーズがその地位を維持し続けてきた背景には、いくつもの試行錯誤があった。ロングセラーブランドの軌跡を追う。







