たまごを落としたチキンラーメン 写真提供:日清食品
日清食品の「チキンラーメン」は発売から60年以上、味を変えずに消費者に支持され続けてきた。一方で、長い月日の中でアップデートされた部分もある。ロングセラーの秘密に迫る前後編。後編では、看板商品の進化の裏側を覗いてみよう。(フリーライター 伏見 学)
「麺の真ん中のくぼみ」
誕生のきっかけは消費者の声
67年間、変わらぬ味で親しまれてきたチキンラーメンだが、長い歴史の中で変えたものもある。
その代表例が「たまごポケット」だ。麺の真ん中にあるくぼみのことで、2003年に誕生した。
以前の麺にはくぼみがなかったものの、たまごを落とす作り方は推奨していた。すると、たまごが滑ってどんぶりの端に流れてしまうなどして、パッケージにあるような美しい見た目にはならないという不満が消費者から寄せられたのだ。
「2002年にテレビCMなどでたまごを乗せる食べ方を訴求していたのですが、お客さまからあまりうまくできないという声が多く、それがきっかけになって検討を始めました」と日清食品マーケティング部第3グループの清水文恵ブランドマネージャーは振り返る。
ただし、これは単純に穴を開ければいい話ではなかった。
くぼみは麺を揚げる際に使うフライ容器のふたが少しへこんでいる部分を利用して作っているのだが、くぼみの大きさや位置はミリ単位で何度も調整して最適解を見つけていったという。
もう一つのハードルは創業者である百福氏の説得だった。







