一流の部下の返事には特徴があります。それは、アサーティブに交渉できることです。
アサーティブとは、相手を尊重しながらも、自分の意見や状況も率直に伝えられる “I’m OK. You are OK.”のコミュニケーションスタイルです。
ただ言い返すのではなく、交渉するのです。(https://diamond.jp/articles/-/376540参照)。このときの技術として「DESC話法」があります。
E(Express):自分の気持ちや懸念を伝える
S(Suggest):具体的な代替案を出す
C(Choose):相手に選択肢を提示する
例えば、上司に「黙ってやれ」と言われたときに、DESC話法でアサーティブに返すとしたら、こうなります。
E:「今その指示どおりにやるとA案件の品質が落ちる懸念があって困っています」(自分の懸念を表明)
S:「明日の午後から着手するか、あるいはBさんに分担をお願いできますか」(代替案を提示する)
C:「もし緊急であれば、A案件の納期を遅らせて対応します。いかがいたしましょうか」(選択肢を提示する)
つまり、「今、こちらを取ればあちらが立たないというトレードオフの状況であるが、どうしますか」と伝え、自分として、やりたい気持ちはあるから建設的にやれる方法を提案する――これがポイントです。
よく、社長や役員から現場に寝耳に水の案件が降りてくることがあります。たとえば、たまたま社長がどこかのセミナーで聞きかじったシステムを「導入してみて」と言ってきたり、「この研修、良さそうだから、やってみて」と言われたり。
人事は年間を通して研修プランを設計しているため迷惑以外の何者でもないわけですが、だからといって「研修プランはすでに組んであるので無理です」と言うのは三流です。
また、「わかりました」と導入するものの、現場から「なんでこんな意味のない研修を受けなければならないのか」と突き上げられ、「社長が言っているからやっているだけで、私は知りません」というのは二流です。
一流は、できるというそぶりを見せ、可能な形での提案を返します。「社長、これだったらできますけど、どうですか」と。それがアサーティブであり、DESC話法なのです。
ここで重要なのは、「着地場所」の設定です。
たとえば、社長から実施を迫られた案件が現場としてはしないほうがいいとわかっている場合、最終的に「そうだね、やっぱりやらなくていいよ」と社長に言わせることをゴールにするのか、それとも何とかやってみるための妥協案を探すのか、どちらかを決める必要があります。
受け入れるのか、押し返すのか、どちらがよいかは時と場合によるのでどちらかが正解ということはありませんし、一流は状況に応じてどちらにでも対応できるものです。
重要なのは、角が立たず、相手に対して自分が建設的なスタンスであることを感じさせ、その後の両者の関係性や自分への評価を損なわないこと。同時に、自分のストレスもためないことです。
※Hackman, J. R., & Oldham, G. R. (1976). Motivation through the Design of Work: Test of a Theory. Organizational Behavior and Human Performance, 16(2), 250–279. https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/0030507376900167







