全米の学校や図書館で絶賛された話題のマンガが、ついに日本に上陸! 新刊『13歳からのメンタルヘルスの教科書』(カーラ・ビーン 著、精神科医さわ 監訳、御立英史 訳)は、複雑な脳と心の仕組みをユーモアたっぷりのイラストで解説し、世界一わかりやすく「『こころ』の守りかた」を教えてくれる一冊です。今回、本書の監訳を務め、『子どもが本当に思っていること』著者の精神科医さわさんに特別インタビューを実施。「自分の性格が嫌い」という自己嫌悪に陥ったときの考えかたについて答えていただきました。(構成/ダイヤモンド社 森遥香)

自分 嫌いPhoto: Adobe Stock

自分の性格が嫌い

ふとした瞬間に、「自分の性格が嫌いだなぁ」と感じることはありませんか?

「昔は自分のことが大好きだったのに、最近はダメなところばかり目につく」
「周りの友達がみんなキラキラして見えて、自分だけが劣っている気がする」

もしあなたが今、そんなふうに自分を責めているのなら、精神科医としてまず伝えたいことがあります。それは、「自分を嫌いになるというのは自分を客観視できるようになった証拠」だということです。

「自己嫌悪」は高度な脳の機能

小学校低学年くらいまでの子どもを思い出してみてください。彼らは根拠なく「自分が大好き!」でいられることが多いですよね。

しかし思春期を迎えると、脳は自分を客観的に見る能力、つまり「メタ認知」を獲得します。「自分」と「他者」を切り離し、比較することができるようになったからこそ、「あの人に比べて自分は……」と悩み始めるのです

つまり、「自分の性格が嫌い」と思えるのは、あなたの性格が歪んだからではありません。客観性という、大人に必要な脳のスペックが正しくインストールされたサインなのです。だから、落ち込んでいる自分に気づいたら、「お、自分を客観視できてるじゃん。脳が育ってるな」と思ってあげてください。ただし、それが辛くなりすぎたら、誰かに相談してほしいです。

「普通」という言葉は呪い

「なんでみんなみたいに『普通』にできないんだろう」と悩む子も多いですが、そもそも「普通」って何でしょうか?

私が診察室で感じるのは、「普通」とは誰かが勝手に決めた曖昧な価値観に過ぎない、ということです。

客観的な視点が育ったからこそ、世の中の「普通」という枠組みが見えてきて、そこからはみ出すことに恐怖を感じてしまう。

でも、無理にその枠に自分を押し込める必要はありません。

生きるのに「夢」や「理由」はいらない

学校ではよく「夢を持とう」「目標を持とう」と言われますよね。もちろん、目標を持って頑張れることは素晴らしいことです。でも、夢や目標が見つからないからといって、あなたがダメな人間だなんてことは絶対にありません。

「足が速いから」「勉強ができるから」価値があるわけではありません。私たちは、何かができるから(Doing)価値があるのではなく、ただそこに存在しているだけで(Being)無条件に価値があるのです。

「将来やりたいことがない」と焦る必要はありません。あなたに合う居場所や、夢中になれることは、何年先になるかわからないけれど、見つかるはずです。

(本記事は『13歳からのメンタルヘルスの教科書』のインタビュー記事です)