買い替えのコツは
「買い」より「売り」優先
男と女では金銭感覚が違う。男は大きいお金、女は小さいお金に強い。マイホーム取得のように大きなお金が動くときは、意外にも「小さなお金」が夫婦ゲンカの火種になることが多いので要注意だ。
さて、今回登場していただく神谷さんご夫妻は30代。現在、2人のお子さんと多摩川に近い戸建てに暮らしている。実は、今の家は2軒目。最初のマイホームは、神谷さんの独断で購入した。神谷さんは筋金入りの不動産ウォッチャーで、常にネットで不動産相場をチェックし、通勤時も駅にある不動産物件のフリーペーパーをマンガ代わりに読むほどの間取りマニア。「家のことは僕に任せろ」というわけだ。
最初の家は、都心に近い穴場エリアの新築建売住宅だった。2005年に3600万円で購入。「30歳前に戸建てを持つ」という目的は果たしたものの、出産、育児のために専業主婦になった奥さんは、周囲の環境や使いづらいミニ戸建てへの不満を募らせていた。
そして、2人目の出産のため奥さんは府中の実家に戻り、神谷さんも頻繁に実家に通ううちに「すっかり府中の環境に魅せられてしまった」という。最初の家を購入したとき、妻にもまわりにも「ベストの選択」と豪語していたことから内心忸怩たるものはあった。「しかし、今が買い替えのタイミング」と判断し、方向転換したという。
05年当時は手が届かなかった府中の戸建てが、08年秋から大幅に値下がりしていることに気づいたからだ。同じような物件が1000万円近く安くなっている。
さっそく不動産仲介会社に売却を依頼し、ネットで府中の候補物件を探し始めた。いくつか候補物件が上がったが、「すべては買い手がついてから」と、物件を見にいくのも我慢した。
「買い」より「売り」を優先させる。これは買い替えの重要なポイントだ。
多くの場合、欲しい物件を見つけてから自宅の売却に入る。「買い値が○○だったから、たぶん、このくらいでは売れるだろう」という甘い期待は外れ、買い替え不調に陥ることが多い。特に不動産価格が値下がりしているときはそうしたケースが増える。新築が値下がりして買いやすい時期は、中古が売りにくい時期なのだ。