億万長者は身なりも住まいも質素な人が多い!
「羽振りがよく見えること=リスク」という意見も
――ちなみに、国税局では主にどんな仕事をしていたのですか?
小林さん 相続・贈与税や、株式取引、不動産取引にかかる税金など、いわゆる資産税がきちんと申告されているかどうかを調査する仕事です。国税の仕事で花形なのは、何といっても企業の脱税などを暴く法人課税部門の調査官です。でも、私は子どものころから家庭が裕福だった時期、貧しかった時期と、いろいろ経験してきたので、個人がおカネにどう向き合っているのか知りたかった。それで、資産税の調査官になることを志願しました。
――相続・贈与税などの税務調査といえば、対象はおカネ持ちの人ばかりですよね。調査をしながら、富裕層のおカネの使い方や、蓄財のノウハウなどがわかったのでは?
小林さん そうですね。意外だったのは、相続・贈与税を納めるぐらいの財産を持っている人ほど、意外と質素な暮らしをしていたことです。まるで田舎のおばあちゃんの家のようでした。部屋の中には何もなく、着るものもユニクロだったりして、とにかくおカネを掛けないんですね。
派手なおカネの使い方をしなければ、資産はどんどん積み上がっていきます。使い過ぎると税金が払えなくなってしまうリスクがあるので、なるべく贅沢しないように心掛けている人が多いのだと思います。「おカネ持ちに見られるのはリスクだ」と言っていた奥さんもいましたね。質素な暮らしは、怪しい投資話や詐欺などから身を守るカモフラージュの側面もあるのでしょう。
――ほかに、おカネ持ちの共通点は何かありますか?
小林さん 官僚や上場企業の役員よりも、職人さんやマッサージ師など自営業の方が目立ちました。会社員は収入が安定しているけど、月々の給与額は一定しているので、それ以上稼ぐことはできません。しかも、会社員は定年を過ぎると稼げなくなりますからね。
その点、職人さんや自営業の方々は、公務員や会社員のように安定はしていないけど、努力次第でいくらでも収入を増やせます。しかも、体が許す限り、いつまでも働き続けられるのですから、資産が大きくなるのも納得ですよね。
――小林さんが国税局を辞めてフリーライターになったのは、そんな資産家の方々のリアルに触れたことがきっかけだったのでしょうか?
小林さん 影響を受けたことは間違いありません。ライターになったのは、たまたま書店で手にした上阪徹さんというプロのブックライターの方の書籍に感銘を受け、上阪さんのライター養成講座に通ったのがきっかけでした。
上阪さんも元サラリーマンだったのですが、プロのライターとして独立し、仕事面でも金銭面でも成功を収めておられたので、私もそんなふうになりたいと思ったんです。やっぱり公務員や会社員よりも、個人事業主のほうが自分に合っていると感じたんですね。
――勇気のいる挑戦だったと思いますが、実際にライターになってみてどうでしたか?
小林さん 最初はかなりきつかったですね。国税局を辞めたのは36歳のときで、年収は500万円を超えていたのですが、収入は一気に減りました。駆け出しの無名ライターのギャラは信じられないほど安く、ウェブ記事を30本書いても1万円ぐらいにしかならないんです。
ようやく前職の収入を超えたのは3年目のこと。おカネの知識を生かして書いた『すみません、金利ってなんですか?』(サンマーク出版)という本が最終的に15万部を超えるベストセラーになり、いろんな出版社から声が掛かるようになって、何とか食べていく土台が築けました。
――弊社(ダイヤモンド社)からも『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』という本を出していますね。
小林さん その本を出した頃から、「元国税専門官」という肩書を強く打ち出すようにしました。何の特徴もないライターだとお声が掛かりにくく、ギャラも安く抑えられてしまいがちです。でも、かつて国税局で働いていたということは自分の強みで、アピールできることに気付いたからです。
おかげで仕事がどんどん増え、いまでは年商1000万円を超えました。もっと早く、自分の“売り”に気付いておけばよかったと反省していますが、結果オーライですね(笑)。
――ところで、小林さんは投資をなさっていますか?
小林さん はい。これも国税専門官時代に見て学んだことですが、おカネ持ちの人たちは資産運用も行っています。しかも、大きなおカネを一気に投入するのではなく、株や債券などに分散し、コツコツ積み立てる教科書どおりの投資をしている人が大部分でした。私もそれを見習って、NISA口座での積立を中心に、株や債券への分散投資を行っています。
――元国税専門官としての経験は、小林さん自身の資産運用にも生かされているわけですね。最後に今年の予定を聞かせてください。
小林さん 今年はスペインに長期滞在しながら、ライターの仕事をしてみようと思っています。クリエイターの高城剛さんの書籍制作の手伝いをきっかけに現地を訪れ、すっかり虜になってしまいました。
独立してよかったのは、生き方や働き方の自由度が高くなったこと。そのおかげで、公務員のままでは出会えなかった人と出会い、多様な経験ができるようになりました。せっかくなので、その特権を生かしていろいろな経験をしてみたいですね。









