「うちの子、語彙が少ないのでは?」「自分の意見をちゃんと言えない」……。スマホやSNSの普及により、子どもの「言葉にする力」の衰えを危惧する声が増えています。そんな中、『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)等のべストセラーで知られる文章の専門家・山口拓朗氏が、待望のこども版『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社)を上梓しました。同書は、マンガと「言葉を使ったゲーム」を通じて、子ども(小学校低学年~高学年)が楽しく言語化能力を身につけられる画期的な一冊です。本連載では、本書をベースに親御さん向けの記事として抜粋・編集した記事や、著者による書き下ろし記事で、「子どもの言語化力」を高める秘密を紐解いていきます。

【言語化力の育て方】「楽しい」と「嬉しい」のちがい、説明できますか?Photo: Adobe Stock

感情の違いに気づける子は言語化力が育ちやすい

「遠足、楽しかった!」「プレゼントもらって嬉しかった!」。

 そんなふうに感情を表現する言葉を、子どもたちは毎日のように使っています。でもいったい、「楽しい」と「嬉しい」の違いって、どこにあるのでしょうか?

 たとえば、「楽しい」は、何かに夢中になっているときに自然と湧き上がる感情です。
 遊園地でジェットコースターに乗って「キャー!」と笑ったり、友だちと大笑いしながら鬼ごっこをしたり、夏祭りで屋台を巡ったりするような場面。体を動かしながら、ワクワクして、時間を忘れてしまうような「今この瞬間」を生きている気持ちが、「楽しい」です。

 一方、「嬉しい」は、自分の心が“満たされた”ときに湧き上がる感情。
 誕生日に欲しかったゲームをプレゼントしてもらったとき。頑張ったことを先生に褒められたとき。友だちが自分の気持ちを分かってくれたとき。誰かからの優しさや愛情、評価などを受け取って、「ああ、よかった」「ありがたいな」と心がじんわり温まるような気持ちが「嬉しい」です。

「悔しい」と「悲しい」、「心配」と「不安」。どう使い分ける?

 こうした感情の違いに気づき、言葉で表現できる子は、言語化力が育ちやすいと言われています。
 なぜなら、気持ちをひとくくりにせず、細やかに感じ取るセンサーを持っているから。言葉の意味やニュアンスの微妙な違いを意識できる子は、表現の幅もぐんと広がっていくのです。

 たとえば、親や大人がこんな問いを投げかけてみるのもおすすめです。
「『悔しい』と『悲しい』って、なにが違うの?」
「『びっくりした』と『ドキドキした』って、同じ気持ち?」
「『心配』と『不安』ってどう使い分けるの?」。

 こうした問いに対し、子どもたちは、自分の理解と照らし合わせながら、自分の言葉で表現しようとします。そのプロセスこそが、言語化力の生きたトレーニングです。

 大人の役割は、正解を教えることではありません。子どもにある程度考えさせたら、一緒に辞書やスマホで確認しましょう。「なるほど、そういう違いなんだ!」と気づいた瞬間に、その子の語彙力は、ほんの少しレベルアップ。これを積み上げていくことで、その子の語彙の世界はどんどん豊かになっていくのです。

 拙著『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』には、子どもの語彙力アップにつながるゲームも紹介しています。ぜひ気軽にやってみてください。

 *本記事は、『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社刊)の著者山口拓朗氏による書き下ろしです。