◆「うつ病」と「うつ状態」は別物…精神科医が「うつ」と言わないワケ
誰にでも、悩みや不安は尽きないもの。とくに寝る前、ふと嫌な出来事を思い出して眠れなくなることはありませんか。そんなときに心の支えになるのが、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)。ゲイであることのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症――深い苦しみを経てたどり着いた、自分らしさに裏打ちされた説得力ある言葉の数々。心が沈んだとき、そっと寄り添い、優しい言葉で気持ちを軽くしてくれる“言葉の精神安定剤”。読めばスッと気分が晴れ、今日一日を少しラクに過ごせるはずです。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・斎藤順)
Photo: Adobe Stock
そもそも「うつ」とは何か?
今日は「そもそも『うつ』とは何か」についてお話ししたいと思います。「うつ」という言葉は非常に認知度が高く、「私、うつかもしれない」「うつかな」というふうに一般的によく使われると思います。しかし、実は精神科医が「うつ」という単語を単独で使うことはほぼありません。
なぜかというと、医学的には「うつ」というもの自体が定義されていないからです。つまり、「うつ」はあくまで一般的に使われる言葉であり、「うつうつとしている状態」を表す言葉にすぎないのです。
「うつ病」と「うつ状態」の違い
私たち精神科医の仕事は、患者さんが困っていたら心のアドバイスをすることだと思われがちです。しかし、それが本来の仕事というわけではありません。精神科医の役割は、「病気かどうかを診断し、適切な治療をすること」。そのため、診断の対象にならない一般的に使われる「うつ」は扱わないのです。
●うつ状態:うつの「症状」が出ている状態
例えば、風邪を引いたときの咳や鼻水などの症状を「感冒(かんぼう)症状」と言います。でも、その症状の原因がただの風邪なのか、呼吸器系の疾患なのか、あるいはアレルギーなのかをきちんと診断する必要があります。それと同じで、「うつ状態」というのは、あくまで症状だけを切りとった言葉なのです。
一般用語として広まる「うつ」
一方で、一般的に「うつ」という言葉は本当によく使われています。書店に行けば、『ツレがうつになりまして。』『うつヌケ』『半うつ』など、「うつ」という言葉を使った本がたくさん並んでいます。
このように「うつ」という言葉は広く浸透していますが、精神科医が扱う「うつ病」とは異なり、もっと曖昧で漠然としたものです。そのため、私たちが専門家として「うつ」という言葉を扱うときは、かなり厳密に使い分ける必要があるのです。
多くの方が「自分はうつかもしれない」と漠然とした不安を抱え、精神科を受診されます。しかし、診察してみると「うつ病」でもなく、よくある「適応障害」という疾患でもない場合があります。つまり、気分が落ち込んではいるものの、治療の対象となるような「病気」ではないと診断され、「大丈夫ですよ」と帰されることがけっこうあるのです。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。






