自信ってなんだろう? 弱った心を支えてくれる言葉ってなんだろう? 答えがありそうでなさそうな問題について、『自分に自信が持てません 生きづらさがほどける50の言葉』(ダイヤモンド社)を刊行したインフルエンサーのいれぶん氏と、『子供がほんとうに思っていること』(日本実業出版社)などのヒットで知られる精神科医さわ先生が、ゆる~く対談しました。

自己啓発本を読んでも動けないのはなぜ? 誰でも簡単にできる「最初の数センチ」の進み方とは? 精神科医さわ×いれぶん対談(2)

言葉は後からついてくる 動いた先にしか本当の答えはない

いれぶん:これから3月、4月って、新生活だったりとか、異動があったりとか、環境が変わったりとかすること多いと思うんです。人間関係が新しくなったりとかね。そういう時に、『自分に自信が持てません』はおそらく活躍できる本だと思うんですよね。でズバリ、さわさんにとって「自信」ってどんなものなんですか?

精神科医さわ(以下、さわ):私の中の自信。なんだろうな。でも、実は私もあんまり自信がないんですよ。

いれぶん:さわさんの本を読ませていただいて、私が思ってることとほとんど同じことが書いてあって、すごく共感したんですけども。自信というものは、例えばスポーツ、オリンピックで活躍してる人は、その競技に自信があると思うんですけど、彼らはそれはもうたくさん練習してきたからなんですね。才能的なものもあると思うんですけれども、自信があるかないかっていうのは要は数を重ねたか重ねてないかだけだと思うんですよ。だから、自信があるないで、物事やるやらないを判断してほしくないな。

さわ:確かになー。

いれぶん:自信がつくまで繰り返し継続すればいいだけ、っていう話で。本当にやりたいこととか、あんなふうになりたいなっていうのがあるんだったら。迷ってる時間があるんだったらとりあえずやってみて。たくさん失敗して、たくさん恥ずかしい思いをした人が上手くなるんだよっていう。それこそが自信なんだなって私は思ってるんですよ。

さわ:はい、私がクリニックを開業したのがちょうど今から5年前で。娘が不登校になって、預け場所がなかったっていうのもあって思い切って開業したんですけど。その時も、自信とかじゃなくって、とにかくやってみたかった。失敗したとしても、融資を受けた額も、医師免許さえ失わなければ返せるかなとか、最悪の事態も自分の中で想定してて。決して自信満々でやり始めたわけではなくて。本当に初めて親に反抗したんですよ。親には死ぬほど心配されたけど。

いれぶん:へー。

さわ:だけど、自信があったわけではなかったんですけど、やらないと気が済まなかったんですよね。だから、すごくビビりだし、全然自信なんてなくって。だからこそなんかこの本(『自分に自信が持てません』)は好きですね。すごく勇気になる本じゃないかなって。

いれぶん:ありがとうございます。

さわ:今までの人間関係が壊れてしまう怖さや、今まであったものを失う怖さみたいなものも意識してる人もいると思うんです。そういう怖さが無意識にあってブレーキをかけてたりすることってあるんじゃないかなって思うんですけど。そういう人たちに向けて一言ありますか?

いれぶん:そうですね。結局人って、環境で変わる。ステージが変わると、付き合う人も変わる。今までは自分とは違う世界に住んでる人だと思ってた人と、普通にお話ができるようになったりとか。Xをやってフォロワーが多くなってくると、結構すごい人と話ができたりすることとか、あるわけですよ。そういうスーパーインフルエンサーみたいな人と自分っていうのは全く違う人だと思ってたんですけど。でも実際会ってみると、全然自分と一緒で。そんなことないですか?

さわ:わかります、わかります。

いれぶん:結局そういう役を演じてるだけというか。そういう演技をしているとそういう人になっちゃう。なんかブレーキになってるは、その世界を見てないから、経験してないからだけで。だから一言で言うと、「とりあえずやろうよ」ってことなんです。

さわ:ふふふ。

いれぶん:やっちゃえばなんとかなるんで。で、1年ぐらいやってると、気がついたら自分が、あんなこと絶対できないって思ってた人と同じことができるようになってる。だからもう結論は、やるかやらないか、ただそれだけなのかな、っていう。

さわ:そうですね。やらない後悔よりもやって後悔というのは、私も自分の人生を振り返って感じることです。やって後悔のほうがいいですよね。

いれぶん:間違いないです。すぐ傷は癒えるんで。

さわ:やりたいと思ったことをやるってすごい人生で大事だなって。古い世代は終身雇用で同じ会社でずっと働くことがすごくいいこと、みたいな、あの考えがどうしても根強かったりする。副業したり転職したりっていう言葉は、若い人ほど今ハードルが低いかなと思うんです。何も変わらない人生で満足してる人は、それはそれで素晴らしいと思うんですけど、自分もなんかやってみたいなと思うことがあれば、ぜひ挑戦してもらいたいなって。失敗していいんですよ。

いれぶん:はい。失敗する前提でやってもらって。失敗した時に、ちょっと支えてくれる人だったりとか、この本であれば言葉だと思うんですけども。それだけ用意しといて。もうどんどん失敗してほしいですね。失敗する前提で、失敗することが前進なんだって思っていれば、そこまで深くは落ち込まないと思います。

さわ:確かに。あとはね、私はこの本(『自分に自信が持てません』)の中で、「言葉は後からついてくる 動いた先にしか本当の答えはない」っていうところが気になって。例えば今、Xとかだったら、基本、言葉じゃないですか。でも「何かやりたいんだけど、何を言えばいいかわかんない」とか「言葉がない」とか。そういう人に、いれぶんさんは、なんてアドバイスするんですか?

いれぶん:上手に綺麗に書こうと思わなくてよくて。思わなくていいというか、最初から上手に、綺麗な言葉が書けるわけがないんですよね。だからそれは、始めないと上手くならない。私も、2020年の3月に投稿し始めたんですけど。最初の半年間の文章とかめちゃくちゃひどいんで。

さわ:やっぱりアウトプットするっていうか、出していくことがすごく大切。行動することが大切。

いれぶん:そうです。真っ暗闇でちっちゃな懐中電灯持って歩いてるのをイメージして。怖いんですけど、一歩先までは照らせるんで、一歩一歩進むと、もう一歩先まで照らせるじゃないですか。そんな感じで一歩一歩進んでったら、なんか知らぬ間にゴールにたどり着く、みたいな。本当それだと思いますね。

さわ:ちょっとコメントいただいてるので、いいですか。「いれぶんさんの気持ちも理解できるのですが、ちゃんと成長になるのか、って悩んじゃう時があって、自信を持てない時があります」。

いれぶん:成長っていうのは、なかなか自分では気づかないですからね。気づかないんですけど、続けていたら、実は1年前とは全然違う自分になってたっていう。例えば、本を1日10分読むことを1年間続けたら。絶対に1年前よりも読むスピードも上がってるし、自分の中に入ってきてるものも全然違うんですよ。なので、1日とか1週間とか1ヶ月とかっていう単位で見ずに。1年前の自分と、今の自分、っていうところで見ていただければ、絶対に成長してますので。

さわ:失敗から学ぶことってめちゃくちゃあって、結果的に成長になるというか。全ての経験を活かすも殺すも自分次第なんだなって思います。仕事においても、子育てにおいても。だから、結果全て、失敗なんてない、みたいな。

いれぶん:はい。ちゃんと成長になるのかな、って悩んじゃう人ほど、絶対に気づくことも多いし。同じことが起こった時に、たくさん気づけるんで、繊細な方は。ビビりの方がいいんですよ。ビビりの人はなかなかスタートしないんですけど、ビビりの人がスタートしたら強いんですよ。