2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』がついに刊行。坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の刊行に寄せて、ライターの小川晶子さんに寄稿いただいた。(ダイヤモンド社書籍編集局)

組織の違和感Photo: Adobe Stock

部下にはもっと主体的に動いてほしい

 指示したことはちゃんとやるけれど、指示しないと動かない部下。

「もうちょっと主体的に動いてもらいたいんだよね……」

 そんな悩みを持つ人は多いようだ。

 いわゆる「指示待ち人間」は、自分で考え、自分で行動することができず、指示・決定を待ってしまう人を揶揄した言葉である。「最近の若者は指示待ち人間が多い」なんていう愚痴も耳にすることがある。

 上司は、部下に主体的に動いてもらいたいとき、どうしたらいいのだろうか?

具体的な3つのステップ

 このような問いに対し、組織開発コンサルタントの勅使川原真衣氏が『組織の違和感』(ダイヤモンド社)の中で解説しているのは、次の3つの点を意識した観察と、伝わるメッセージだ。

①そもそも、なぜ「待ちの姿勢」に見えるのか?

「部下が、言わないと動かない」と感じているなら、なぜ「そう見えるのか」を考えるところからだという。

「あいつは指示待ち人間だ」と決めつけるのは、もっとも避けなければならないことだ。決めつけても何もいいことはない。

 本書では、それぞれの人の「ソーシャルスタイル」を手がかりに観察をする方法を教えてくれている。人と接するときの言動のパターンから、その人にとっての「当たり前」を探るというものだ。

 たとえば、人間関係より個人の自立を求めるタイプの上司と、人への関心が強いが自己開示は控えめタイプの部下の組み合わせである場合、ソーシャルスタイルの違いから「待ちの姿勢に見える」ということが起こる。

組織の違和感『組織の違和感』p.210より

②相手はどんなことを考えていそうか?

 ソーシャルスタイルでマッピングをすると、自分にとっての当たり前と、相手にとっての当たり前が違うことがわかる。

 自分の「当たり前」を外して、相手が何を考えていそうかを考えることが大事だ。

 図のソーシャルスタイルからいうと、左下の人にとって右上の人の話は概念的で大きすぎると感じることがあるという。

 部下は、「目標や意義についての話は聞きましたけど、具体的な進め方とか、スケジュールについては何も聞いてません。だから今、指示を待っているんです」ということなのかもしれない。

 やる気がないわけではない。

 両者の「当たり前」がすれ違っているのだ。

③そのうえで、相手に伝わるメッセージは?

 ギャップを理解したうえで、どのように伝えればよいかを考える必要がある。

 この例の部下に対しては、「具体的に、いつまでに何をやればよいか?」「どんな前例があるのか?」といった小さなことから積み上げて説明する必要がある。そこがわかっていないと、安心して仕事を進めることができないからだ。

「相手に伝わるメッセージ」は、一律ではない。

 相手を観察し、自分の「当たり前」を外して相手の考えについて仮説を立て、メッセージをつくるのが大事なのである。

 その際、本書の「ソーシャルスタイル診断」は良い助けになるだろう。

「指示待ち人間」と決めつける前に、まずは相手を観察してみる。それだけでも見え方は変わるはずだ。

(本稿は、『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』の発売を記念したオリジナル記事です)

小川晶子(おがわ・あきこ)
大学卒業後、商社勤務を経てライター、コピーライターとして独立。企業の広告制作に携わる傍ら、多くのビジネス書・自己啓発書等、実用書制作に携わる。自著に『文章上達トレーニング45』(同文館出版)、『オタク偉人伝』(アスコム)、『超こども言いかえ図鑑』(川上徹也氏との共著 Gakken)、『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』(サンマーク出版)がある。