達人の「損切り」の極意
理由の後付けはNG行為!

ハセン:なるほど。では、視聴者から一番多かった質問です。「利益確定や損切りをするときの基準は何ですか?」。これは永遠のテーマですよね。

テスタ:これはもう、シンプルです。「最初に想定したシナリオから外れたら損切りする」。これに尽きます。

 買う時に「なぜ買うのか」という理由がないと、そもそも「どこで売るのか」分かりません。「なんとなく上がりそう」とか「SNSで話題だから」とか、フワッとした理由で買っている人は、どこで利益確定や損切りをしたらいいか、分からないという人が多いんです。

 例えば、「この新製品が出たら、株価が上がるはず」と思って買ったなら、製品が発売された時が売るタイミングです。チャートで「この価格は割らない」と思って買ったなら、割った瞬間が売り時。買う理由と売る理由はセットじゃないといけないんです。

エミン:全く同感です。一番やってはいけないのは、含み損が出てから「長期保有に切り替えよう」とか言い出すことです(笑)。自分が立てたストーリーが崩れているのに、ネガティブな情報を無視してしまう。自分の都合の良いように、バイアスをかけてしまう投資家は多いですよね。

テスタ:そうそう! 負けている人が一番やりがちなのが、含み損が膨らむと、ネットの掲示板とかを探し回って「新しい好材料」を見つけてきて、ストーリーを上書きしちゃう。 これ、絶対にダメです。最初に立てたストーリーが崩れた時点で、一度リセット(損切り)しなきゃいけない。

ストーリーを自分で組み立てる
投資のヒントは1日100社以上ある

ハセン:「ストーリー」という言葉が出ましたが、エミンさんも銘柄選びではストーリーを重視されていますか?

エミン:そうですね。私は数字(ファンダメンタルズ)を見た上で、自分なりのストーリーを作ります。分かりやすい例を挙げましょう。以前、私がソニー株を買った時の話です。

 当時、ソニーの時価総額は4兆円ほどでしたが、ネットフリックスの時価総額は20兆円ありました。しかし、決算書を見ると、ソニーの「ゲーム&ネットワークサービス」などのエンタメ部門の売上高は、ネットフリックスとほぼ同じだったんです。

ハセン:売上規模は同じなのに、時価総額は5倍も違ったと。

エミン:おかしいですよね? そこで、「ソニーは少なくともネットフリックスと同じくらいの時価総額(20兆円)にはなるはずだ」というストーリーが生まれました。結果的に、その後ソニーの時価総額は20兆円に達しました。そこでストーリーが完結したので、いったん利益確定しました。

 このように、身近な気づきや数字の矛盾からストーリーを組み立てるんです。

 例えば「サイゼリヤ」も好きな銘柄です。店に行って食べてみて、「こんなに安くて美味しいのか」と驚きました。業績もいいし、海外展開の余地もある。そこから「時価総額が数倍になる」というシナリオを描いて投資しました。

テスタ:エミンさんのように、日常生活の中にヒントはいっぱいありますよね。 僕もそうですけど、自分の好きなものや、よく使うサービスを提供している会社を調べるのが一番いいと思います。

エミン:私たちは1日の生活の中で、100~150社ほどの上場企業の製品やサービスを使ったり、目にしたりしています。毎日行くコンビニ、銀行や鉄道、宿泊するホテル、着ている服、食べている食料品などです。

 こうした日常生活の中で、「ここは良さそうだ」と気づくチャンスは山ほどある。そこから、候補銘柄を探すことができます。

任天堂とTBSに見る
日本のIP(知的財産)の価値

ハセン:実は私、TBSを退社した人間なんですが、辞めてから3年間でTBSの株価が4倍になったんです(苦笑)。正直、中にいた時はそこまで評価される企業だという実感はなかったんですが、これはどういうことなんでしょうか? 

エミン:それは非常に良い質問です。今のTBSは、単なる放送局としてではなく、世界屈指の「IP(知的財産)」と「資産」を持つ会社として再評価されているんです。

 テレビの広告収入自体は厳しくても、TBSには過去数十年で作ってきたドラマやアニメという膨大なコンテンツ資産があります。これがネットフリックスなどの配信プラットフォームを通じて、世界中で何度でも稼いでくれる“金の卵”に変わった。

 さらに赤坂の一等地に不動産も持っている。 投資家は、PBR1倍割れで放置されていたこの「隠れた価値」に気づき始めたんです。

ハセン:なるほど…! 放送局ではなく、コンテンツホルダーとしての評価なんですね。

エミン:この考え方は、テスタさんが保有している任天堂にも通じます。テスタさんは「任天堂はずっと持ち続ける」とおっしゃっていますが、それは任天堂が単なるゲーム会社ではなく、ディズニーに近い存在だからではないですか?

テスタ:はい。「マリオ」や「ポケモン」といったキャラクターは、世界中の誰もが知っていますから。

エミン:これほど強力なIPを今からゼロで作ろうと思っても、GAFAのような巨大企業でも難しいでしょう。メディアが分散して、みんなが同じものを見なくなった今、国民的、いや世界的なスーパーヒーローは生まれにくくなっています。

 世界で最も稼ぐIPは、じつは「スター・ウォーズ」でも「マーベル」でもなく、「ポケモン」なんです。すでに確固たる地位を築いている、マリオやピカチュウの価値は、今後ますます高まっていくでしょう。

 テスタさんはそれを見抜いているから、安心して長期保有できるのだと思います。

2026年に達人2人が
ズバリ注目するテーマは?

ハセン:最後に、これから2026年にかけて、お二人が注目している具体的なテーマやセクターを教えてください。

テスタ:僕は「スポーツ関連」に注目しています 。 2026年はスポーツイベントが集中する当たり年なんです。冬季オリンピックがあり、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)、FIFAワールドカップ、さらにアジア陸上もある。特に前半にイベントが重なっています。

 それなのに、スポーツ関連銘柄の株価はまだそこまで反応していません。イベントが盛り上がった時の上昇期待がある一方で、すでに株価が高いわけではないので、リスクは比較的限定的かなと見ています。

エミン:なるほど、イベントドリブンですね。面白い視点です。

 私はいくつかありますが、まずは「化学セクター」。業績回復が見込めるのに、まだ割安な銘柄が多い。次に「自動車関連」で、関税への警戒感から売られてきましたが、最悪期を脱して業績が回復してくる局面にあると思います。 

 あと、個人的な予測ですが、今年のアメリカの中間選挙では与党である共和党が苦戦するか、負けると見ています。そうなれば、トランプ政権下で冷遇され、割安になっている「風力発電や代替エネルギー関連」に見直し買いが入るかもしれません。

 地域で言えば「インド」も外せません。米国がインド製品に課す関税を計50%から18%に引き下げたばかりですし、EUとのFTA締結など、ポジティブな材料が出ています。

ハセン:時間があっという間でした。最後に、これから投資を本格化させたいと考えている方へメッセージをお願いします。

テスタ:今は情報があふれている時代です。本、ブログ、YouTube、SNS…いろんな勉強法がありますが、大事なのは「自分が苦にならずに続けられる方法」を見つけることです。

 僕は文字を読むのが苦手なので、動画やブログ中心でしたが、人によっては本が合うかもしれない。「これなら毎日続けられる」という自分なりのスタイルを見つけて、少しずつでも相場に関わり続けることが、結局は一番の近道だと思います。

エミン:日本株は、長らく続いたデフレと停滞を抜け出し、名実ともに「新時代」に入りました。私は以前から2050年には日経平均30万円になると言っており、その道のりはまだ始まったばかりです。

 短期的な上げ下げに一喜一憂せず、長期的な視点で、日本企業の成長ストーリーに参加してください。今からでも全く遅くはありません。むしろ、今が絶好のスタート地点です。

ハセン:お二人とも、本日は本当にありがとうございました!

本記事は2026年2月20日時点で知りうる情報を元に作成しております。本記事、本記事に登場する情報元を利用してのいかなる損害等について出版社、取材・制作協力者は一切の責任を負いません。投資は自己責任において行ってください。