一般的な富裕層は
I中心の会話構造

 一般的な富裕層との会話では、相談や質問の形を取っていても、文脈上の主語は私であることが少なくありません。

自分はどう見えるだろうか

自分は正しいだろうか

自分にとって有利だろうか

 日本語では主語が省略されがちですが、会話の軸は本人の内側に戻りやすい傾向があります。英語に置き換えれば、I think、I want、I should が中心になりやすい状態です。

超富裕層の会話でわかる
口ぐせとは?

 一方、金融資産5億円以上の超富裕層の会話では、主語が明確に変わります。

あなたはどう感じているか

それをやると、あなたの仕事はどうなるか

今、あなたにとって何が一番重要か

 会話の焦点が一貫して相手に向いており、自分の立場や感情の確認が前面に出にくい。英語で言えば、You think、What do you want、How are you doing が自然に続きます。

 つまり、超富裕層は、「あなたは」を主語にする癖があるのです。

 この口癖こそ、信頼を積み重ね、人々が集まり、その人たちが協力し、人脈を形成し、事業や投資が成功する確率が高まり、富裕層を超富裕層にし、そして超富裕層であり続けられる素養の1つとなっているのです。

主語をあなたに変えると
なぜ信頼が積み重なるのか

 ここからが重要なポイントです。

 超富裕層でなくても、会話の主語を私からあなたに意識的に移すことはできます。そして、それがなぜ信頼形成につながるのかには、学術的に説明できる筋道があります。

 自己決定理論では、人には自律性、有能感、関係性という基本的欲求があり、これが満たされると内発的動機づけや心理的な安定が高まるとされます。主語があなたになる会話は、このうち少なくとも関係性を強く刺激します。相手は自分が尊重され、関心を向けられていると感じ、会話への参加意欲が高まります。

 さらに、あなたを主語にした問いかけは、相手の自律性にも作用します。あなたはどうしたいか、あなたはどう考えるかと問う姿勢は、相手の選択を尊重するメッセージとして機能し、圧力や支配の感覚を下げます。これが、対話の安全性と継続性を高めます。