また、対人関係の研究では、自己開示が信頼形成を促進することが繰り返し示されています。重要なのは、自己開示は一方通行では続かないという点です。相手が安心できる聞き方をしたとき、相手は話しやすくなり、開示が進みます。そして開示が進むほど、関係は深まります。

 主語があなたの会話は、相手の内面を安全に引き出しやすい。あなたはどう感じたか、何が一番困っているか、何を大事にしたいか。こうした問いは、相手の価値観や意図を言語化させます。言語化されるほど、相手は理解されていると感じ、関係の安定感が増します。

信頼が積み重なると
「人脈の質」が変化する

握手するビジネスマン2人の写真写真はイメージです Photo:PIXTA

 信頼が積み重なると、次に起こるのが人脈の質的変化です。

 ビジネス上のチャンスは、求人や広告のような公開情報よりも、非公開の紹介や推薦として流通する場面が多いです。組織論や社会ネットワーク研究では、価値ある情報は信頼関係のあるネットワーク内で共有されやすいことが知られています。

 紹介は紹介者の信用を担保にして行われるため、紹介者は信頼できる人にしか橋渡しをしません。つまり、人脈の拡張は「知り合いの数」ではなく「信頼の厚み」に依存します。

 主語をあなたにする会話は、信頼を厚くする行動の連続です。結果として、相手はこの人なら紹介しても信用を損なわないと判断しやすくなります。これが紹介の連鎖を生みます。

 信頼と人脈が育つと、仕事の機会が広がります。機会が広がれば、成果につながるチャンスもまた大きくなるのです。

 また、ビジネスでは、能力の高さだけでなく、安心して任せられるかが重要な評価軸になります。安心感は、相手を主語にして話し、相手の意図を理解しようとする姿勢の蓄積で生まれます。

 結果として、仕事の任され方が変わります。単発の依頼ではなく、長期の関係、重要な案件、非公開の案件が回ってくるようになるのです。