思いがけない才能や発見は、いつも整った形で現れるわけではありません。忙しさや肩書でふるいにかけて、大切な芽を見逃していないでしょうか。
楽天グループ代表取締役会長兼社長・三木谷浩史氏をはじめ、Google元会長やZoomの創設者も絶賛する世界的ベストセラー『1兆ドル思考 世界一流の成功をもたらす9原則』をもとに解説します。

運の悪い人は「知らないこと」を怖がる。運のいい人は「違和感」を放置しない。Photo: Adobe Stock

偶然の違和感を大切にする

セレンディピティ(思いがけない発見や偶然の出会い)は周りにあふれている。

科学の歴史の中でも特に感動的な物語について考えてみよう。

20世紀初頭、南インドの片田舎出身の貧しい事務員だったシュリニヴァーサ・ラマヌジャンは、独学で数学を学んだ。

ラマヌジャンは、自分で発見した証明をまとめた重い包みを世界有数の数学者たちに送った――それはスタートアップ創業者からのコールドピッチみたいなものだった。

そのほとんどが未開封のまま返送されてきた。

ケンブリッジ大学の有名な数学者G・H・ハーディが包みを開けて中をのぞき込むまで、ラマヌジャンは何の影響力も持てずにいた。

その日、ハーディは箱に入っていた奇妙な公式や証明、見慣れない数学記号のことを考えずにはいられなくなった

そして、ラマヌジャンが多くの重要な数学的成果を独力で再発見していたことがわかった。

その過程で、ラマヌジャンは驚くべき新発見もしていた。

それはなぜか。ラマヌジャンが、何が既知で何が未知かを知らなかったからだ。

ハーディはその非凡な才能を認め、ラマヌジャンを英国へ招いた。

数年後、ラマヌジャンは英国王立協会に入り、歴史上最も重要な数学者の一人になった。

ハーディは最期の日まで、ラマヌジャンを見いだしたことが数学に対する自らの最も重要な貢献だと確信していた。

ベンチャーキャピタリストは、自分にとってのラマヌジャンを見逃すまいと、次のユニコーンになる可能性がある創業者のコールドピッチに返信するのだ。

あなたがどういう立場であっても、あなたのラマヌジャンを見逃さないようにしよう。

(本記事は『1兆ドル思考 世界一流の成功をもたらす9原則』から一部を抜粋・編集しています)