相続で銀行口座が凍結…「遺言書なし」の深刻な落とし穴
大切な人を亡くした後、残された家族には、膨大な量の手続が待っています。しかも「いつかやろう」と放置すると、過料(行政罰)が生じるケースもあり、要注意です。本連載の著者は、相続専門税理士の橘慶太氏。相続の相談実績は5000人を超え、現場を知り尽くしたプロフェッショナルです。このたび、最新の法改正に合わせた『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』が刊行されます。本書から一部を抜粋し、ご紹介します。
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銀行口座の凍結を解除する方法を解説!
本日は「相続と銀行口座」についてお話しします。年末年始、相続について家族で話し合った方も多いかと思います。ぜひ参考にしてください。
銀行預金口座の凍結を解除するには、相続人全員の同意が必要です。また、原則として、その銀行の預金を誰が相続するかが決まっている必要があります。その証明として、遺言書がある場合には遺言書を、ない場合には遺産分割協議書を、銀行に提出しなければなりません。銀行によって手続の流れは少し異なりますが、本日は三菱UFJ銀行の手続を紹介します。必要になる書類は以下の通りです。
遺言書がある場合
①相続届(銀行の所定用紙)…相続人の署名と実印による押印が必要
②遺言書…検認が必要になる自筆証書遺言の場合には、検認済証明書も必要
③相続人の確認ができる戸籍謄本
④遺言で預金を継承する人の印鑑証明書(発行日より6か月以内)
⑤通帳・キャッシュカード等(紛失している場合は窓口で相談)
※遺言執行者がいる場合は必要書類が異なるため直接ご確認ください。
※遺言書に記載されている銀行名称が変わっている場合でも、相続時点の口座が特定できる場合には、解約手続は可能です。
相続争いが起きた場合、お互いの印鑑証明書を渡すことすら難しくなってしまうケースもあります。
しかし遺言書があれば、その預金を相続する人の戸籍謄本と印鑑証明書だけで手続を進められます。次に、遺産分割協議書がある場合を見ていきましょう。
遺産分割協議書がある場合
①相続届(銀行の所定用紙)…相続人の署名と実印による押印が必要
②遺産分割協議書
③相続人の確認ができる戸籍謄本
④法定相続人全員の印鑑証明書(発行日より6か月以内)
⑤通帳・キャッシュカード等(紛失している場合は窓口で相談)
この場合、法定相続人全員の印鑑証明書が必要になります。
遺言書、遺産分割協議書がない場合
①相続届(銀行の所定用紙)…法定相続人全員の署名と実印による押印が必要
②相続人の確認ができる戸籍謄本
③法定相続人全員の印鑑証明書(発行日より6か月以内)
④通帳・キャッシュカード等(紛失している場合は窓口で相談)
相続届において、法定相続人全員の署名と実印による押印が必要になります。
遺産分けが長引きそうなら、相続人代表口座に仮の移管をする遺産分割協議が長期化しそうな場合等には、凍結を解除するための手続を行い、いったん相続人代表口座に預金を移すことも可能です。
遺産分割協議が決まったら、その口座から各相続人に振込をします。ただし、この方法は相続人全員の同意が必要になります。同意が難しそうであれば、2019年から始まった遺産分割前の相続預金の払戻し制度を利用すれば、当面の生活費は確保することが可能です。詳しくは、一般社団法人全国銀行協会のホームページをご確認ください。
残高証明書・入出金明細の取得
相続税の申告が必要になる方であれば、相続発生日における預金の残高証明書や、過去の取引履歴を明らかにする入出金明細の取得が必要になります。これらの書類は相続人の1人が単独で請求することが可能なので、他の相続人の同意(印鑑証明書)などは必要ありません。必要書類は、①故人の戸籍謄本、②請求者の戸籍謄本(抄本でもOK)、③請求者の印鑑証明書です。なお、名義人が亡くなったことを伝えれば、その時点で口座は凍結されますので注意しましょう。
(本原稿は『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』の一部抜粋・加筆を行ったものです)








