
今日から「パパさん」「ママさん」
司之介(岡部たかし)と丈(杉田雷麟)と正木(日高由起刀)はじれったい気持ちを、相撲の鉄砲によって収めている。
力士の稽古だという鉄砲も『ばけばけ』ですっかりおなじみとなった。
そこへクマ(夏目透羽)がもうすぐ生まれるとヘブンを探しにくる。
生まれる瞬間に立ち会えなかったら一生後悔するだろう。
と思ったら、ヘブンが駆け込んでくる。
いよいよ赤ん坊がこの世に生まれてくる。
ヘブンも鉄砲。
「ご安全で」「ご健康で」と書生たち。
「よき目をもって」とヘブン。
柱が壊れそうな勢いである。
そして、赤ん坊の泣き声が響き渡った。
母子ともに無事と聞いて、おおおお! 男性陣は大喜び。
思わず産婆に抱きつくヘブン。「おトキちゃんじゃなか」といわれ、慌てて握手に切り替えた。いまならこれもセクハラになるのだろうか。
出産疲れで寝ているトキに近寄ったヘブンは、やさしく彼女の両頬に手をあて、「すばらしい」と労う。
外国人の俳優は愛情表現も大きい。
赤ん坊はフミ(池脇千鶴)が抱いていて、ヘブンはそろりそろりと近寄り、抱える。男の子だ。
「オオ」
「oh」しかでてこないと笑うトキ。
ゆるやかなピアノ曲が流れ、みんな幸せそう。
「ばばさま」「はーい」という池脇千鶴の口調がとてもいい。
「パパさん」
「ママさん」
「じじさま」
「ばばさま」
これからは呼び名がこう変わるだろう。
「おクマ」
「じょう」
「まさき」
「おれたち変わらない」(丈)
「おれだけ名字だ」(正木)
内容が全然ないが、ここは子どもが生まれてきただけで十分な場面。逆にいえば、誕生の描写だけで十分にもかかわらず、名前でひと笑いさせようとする作家の意地を筆者は見る。
考えてみれば、妊娠、出産、夫が妻を労い、赤ん坊を見て、かわいいねえとほっこりするという流れは書いた(創作した)うちには入らない。そこにどんなオリジナリティを加えるかが、作家の才能の見せ所である。そういう意味では出産場面は、作家としてはマラソンにおける休憩所のようなものであろう。しかも視聴者に喜ばれる安心な。







