しっかり結婚してなかった
トキ、赤ん坊、ヘブンが3人で川の字になって寝ている。背後で土瓶がわいている音がする。
別室で、司之介(岡部たかし)が紙風船やお手玉を周囲に広げている。フミとふたりで、異人のような顔をしている、かわいらしいと喜んでいる。するとそこから、不穏な話になる。
さきほど名前問題で、ひとりだけ名字で呼ばれた正木が、ヘブンとトキの戸籍を気にする。
呼び名→名前→戸籍 と連想がつながる。
ヘブンは、レフカダ・ヘブンであり、松野家の戸籍に入ったわけではない。
むろん、トキは松野トキであり、ヘブン家の戸籍に入ったわけではない。
たんに杵築のオオヤシロ(出雲大社)で夫婦になると誓っただけだった。しつこいようだが、だから洋妾疑惑をもたれるのだろう。
同じ戸籍に入らないと、正式には家族になれないのではないかと心配する正木の声を別室で耳にしたヘブン。それが気になって……。
別の日、夕刻、永見(大西信満)の車で帰ったヘブンは、いきなり「くび」を申し付ける。
ただではない。「不器用ですけん」と言いながら分厚いお金の入った封筒を差し出す。
そこには恩給と書いてある。退職金のようなものだろう。
「家族大事 いっしょ」と深く頭を下げるヘブン。
第107回で永見の妻が松江に残っていると聞いたから、いっしょに暮らしたほうがいいと思ったのだろう。
永見も負けずに深く頭を下げる。
永見夫婦のことも影響して、ヘブンは、トキに「アタラシイ ノ ジンセイ ハジメタ ノ キモチ」「シッカリ 結婚 シマセンカ」と持ちかける。
「なんですかしっかり結婚って」とトキ。
子どものためにも同じ戸籍に入ろうということ。
「シッカリ結婚シマセンカ」を繰り返すヘブン。
「家族、なりませんか」と言われ、「それはそれはとても喜びです」とトキはヘブンを抱きしめる。
子どもができたことで、正式に結婚しようと考えるというのは、現代にもあること。子はかすがいとはまさにこのことだろうか。
もしかして、子どもができなかったら、ヘブンは戸籍が入ってないことを幸いに、フィリピンにひとりで行ってしまったかもしれない。
ラン(蓮佛美沙子)が、夫がアメリカに帰るときは別れるときと覚悟しているのもそういうことなのかもしれない。
ヘブンは法律のうえでもしっかり家族になろうと考えたが、そもそもイギリス人と日本人、同じ戸籍に入れるのか、トキとヘブンに課題が待ち受けている。何事も無条件にいいことばかりではないようだ。









