35歳を過ぎて「AIに無関心な人」が静かに終わっていく理由とは何か。
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。これからの生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。『ゆるストイック』では、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、誰でもできるプロセスとしてみなさんに共有する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

35歳を過ぎて「AIに無関心な人」が静かに終わっていく理由Photo: Adobe Stock

AIに無関心な人

 AIに興味がない。
 触ったこともない。
 なんとなく距離を置いている。

 35歳を過ぎて、この状態にある人は少なくありません。しかし『ゆるストイック』という本では、それを「性格」ではなく「年齢特有の心理現象」として説明します。

 本書が紹介しているのは、いわゆる「ダグラス・アダムスの法則」です。

新しいテクノロジーを目の前にしたとき、どんな反応をするでしょうか。ダグラス・アダムスは、人々の年齢とテクノロジー受容の関係について興味深い洞察を示しています。それは「ダグラス・アダムスの法則」として知られています。
この法則は、組織がテクノロジー導入や変革をおこなう際、各世代がどのような心理的反応を示すかを理解するための有益な指針です。

1.自分が生まれたときにすでに存在しているテクノロジーは、自然の一部と感じられる
2.15歳から35歳の間に発明されたテクノロジーは、新しくエキサイティングなものと感じられる
3.35歳以降に発明されたテクノロジーは、自然に反するものと感じられる

――『ゆるストイック』より

 ここで注目すべきは「3」です。
 35歳以降に登場した技術は、「違和感」を伴いやすい。

なぜAIに距離を取ってしまうのか

 本書は、各年代の受け止め方をさらに解説しています。

1.自分が生まれたときにすでに存在しているテクノロジー
人は、生まれる前から存在するテクノロジーを、疑問を抱くことなく自然な生活の一部と受け入れる傾向にあります。たとえば、デジタルネイティブと呼ばれる若い世代にとって、インターネットやスマートフォンは生まれたときから存在しています。それらを、特別な技術ではなく、当たり前に存在する「生活基盤」として受け入れるのです。

2.15歳から35歳の間に発明されたテクノロジー
人間が最も柔軟で好奇心旺盛な時期に登場する技術は、革新的でポジティブに受け取られやすいものです。仮想現実、AI、ブロックチェーンも、この年齢層にとっては非常に魅力的に映ります。積極的に新技術を学び、自らのキャリアの一部とする傾向があるでしょう。

――『ゆるストイック』より

 問題は、35歳を超えたときの心理です。

3.35歳以降に発明されたテクノロジー
35歳を過ぎると、多くの人は新しいテクノロジーに対し、抵抗感や懐疑心を抱きやすくなります。この現象は、組織が新しい技術を導入する際に一部の社員から反発を受けやすい原因ともなります。35歳というのは人間にとって新しいものを習得できなくなる分かれ道の年齢であることは、古今東西、変わっていないようです。

――『ゆるストイック』より

 つまり、無関心は「能力不足」ではなく「心理的バイアス」なのです。

静かに終わる構造

 AIは、単なる流行ではありません。
 業務効率、意思決定、創造プロセスを根本から変えています。

 ここに無関心でいるとどうなるか。
 周囲がAIを使って10倍速で回している中、自分だけが従来型で働くことになります。成果の差は、ゆっくり、しかし確実に開いていきます。

 しかも怖いのは、「自覚がない」ことです
 急に終わるのではない。静かに、相対的に価値が下がっていく。

ゆるストイックな向き合い方

ゆるストイック』が示しているのは、恐怖で飛びつけという話ではありません。

 心理バイアスを自覚し、意識的に触れてみることです。
 拒絶反応が出るのは自然。

 しかし、自然だから正しいわけではない。
 35歳以降の戦略は、「違和感のあるものにあえて触れる」こと。
 それが、静かに終わらないための最低条件です。

 AIに無関心でいることは、選択です。
 そして、その選択は、数年後に結果として返ってきます。

 無関心のままでいるか
 触れてみるか

 分岐点は、今です。

佐藤航陽(さとう・かつあき)
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)は9.5万部を突破した。
また、新しくYouTubeチャンネル「佐藤航陽の宇宙会議」https://youtube.com/@ka2aki86をスタートさせた。