40歳を過ぎて働かなくなる「無能な上司」は、なぜ生み出されるのか。
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。これからの生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。『ゆるストイック』では、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、誰でもできるプロセスとしてみなさんに共有する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

40歳を過ぎて働かなくなる「無能な上司」は、なぜ生み出されるのか?Photo: Adobe Stock

「無能な上司」は、なぜ生み出される

 40歳を過ぎたあたりから、急に動かなくなる上司がいます。

 決裁は遅い。
 挑戦もしない。
 口だけは達者だが、実際には何も前に進めない。

 なぜ、そうした「働かない上司」は生まれるのでしょうか。
ゆるストイック』という本では、その原因を「完璧主義」にあると指摘します。

完璧を求めすぎると、挑戦する意欲が減ります。
そして、行動を起こすハードルが高くなるものです。「ゆるストイック」を実践するためには、完璧主義を手放すことが求められます。
感覚的にいうと、80%の完成度で満足する「80%ルール」を取り入れることがカギです。このアプローチにより、学習効率が最大化され、よりスムーズに次の成長段階に進むことが可能になります。

――『ゆるストイック』より

 完璧を求める姿勢は、一見すると優秀さの証のように見えます。
 しかし実際には、「動かない理由」になりやすい

 失敗できない。
 評価を落とせない。
 だから慎重になる。
 その結果、挑戦回数が減り、経験値も増えない。これが停滞の正体です。

100%を目指すほど、成長は止まる

 本書は「学習曲線」という考え方を紹介します。

学びには、「学習曲線」と呼ばれるグラフがあり、これを理解すると、80%で満足することの効果が見えてきます。
学び始めた初期には知識やスキルが急速に増え、短期間で大きな進歩が感じられます。
これにより基礎的な部分はしっかり身につき、全体の50~60%を短期間でカバーできます
一方、80%を超えて100%の完成度を目指すと、学びのコストが非常に高くなるのに、得られる成果が少なくなるため、燃え尽きやすくなります。

――『ゆるストイック』より

 つまり、80%まではコスパがいい。
 しかし、そこから先は労力のわりに伸びが小さい。

 無能化していく上司は、この「最後の20%」に固執します
 資料を何度も直し、リスクを洗い出し続け、決断を遅らせる。結果として、挑戦の総量が減る。
 部下から見ると「動かない人」に映るのです。

80%で回す人が伸びる

 本書は、80%で回すことの意味をこう述べます。

80%で満足することには、自己成長のサイクルを速め、次のステップにスムーズに進めるという利点があります。
この方法はまた、完璧主義による自己批判や、失敗への恐怖を軽減し、ポジティブな挑戦を後押ししてくれます
さらに、多様な分野で80%の理解を達成することで、それぞれの知識を組み合わせた新しい独自性を築くことにもつながります。

――『ゆるストイック』より

 80%で出す。
 次に行く。
 また80%で出す。

 この回転速度が、上司としての価値を決めます。
 40歳を過ぎて無能になる人は、能力が落ちたのではありません。
 完璧を手放せず、回転を止めてしまったのです

 ゆるストイックとは、ゆるく妥協することではありません。
 成長の効率を最大化するために、あえて80%で回す戦略です。

 動き続ける上司でいるか。
 止まる上司になるか。
 その分岐点は、「完璧主義を手放せるかどうか」にあります。

佐藤航陽(さとう・かつあき)
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)は9.5万部を突破した。
また、新しくYouTubeチャンネル「佐藤航陽の宇宙会議」https://youtube.com/@ka2aki86をスタートさせた。