2024年世界デジタル競争力ランキングで、日本は67カ国中31位だった。しかし、デジタル人材の知識分野では過去最低の53位、さらにその人材の「国際経験」と「デジタル・技術スキル」は最下位の67位という結果になっている。日本企業のDXは少しずつ進展しているが、それを担う人材の育成が追いついていないことが、国際比較で浮き彫りとなった形だ。日本の企業がDXを進めるためにはどんな人材が必要で、どのように育成すればいいのか。さまざまな企業のDX事例を取材してきた筆者が解説する。(ノンフィクションライター 酒井真弓)
デジタル競争力ランキングで31位、67カ国中最下位の項目も
スイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表した2024年世界デジタル競争力ランキングで、日本は67カ国中31位となった。2023年の32位からは上がったものの、主要先進国では最低レベルである。
ランキングの評価項目は、「知識」「技術」「将来への準備」の3分野で構成される。日本に関するデータで特に目を引くのが、知識分野において「国際経験」と「デジタル・技術スキル」が、将来への準備分野において「機会と脅威を把握する力」と「企業の機敏性」が、67カ国中最下位となったことだ。前年総合3位から1位に躍進したシンガポールは、これらの項目でもトップクラスについているのが印象的だ。