「これが軽なのか」という乗り心地を実現した技術とは

フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):それにしてもルークスは乗り心地が良い。「これが軽自動車?」と嘆息するほどの仕上がりです。

日産オートモーティブテクノロジー 車両実験部 第三車両実験部グループ シニアテクニカルレビュア 永井 暁さん(以下、永):ありがとうございます。この部分は誤解を生まないように、本当に慎重に書いてほしいのですが、軽のスーパーハイトワゴンは、トレッドが狭くて車高が高い。基本的に極めて不安定なクルマである、ということがまず大前提としてあります。さらに今回のフルモデルチェンジでAピラーを立てた結果、屋根が前に延びた。屋根が延びたということは、その分鉄板が延びて屋根部分が重くなるということです。クルマの一番上にある屋根が重くなったのだから、重心はさらに高くなる。これはフェルさんが(兄弟車である三菱の)デリカミニの記事でも書かれていたとおりです。

日産オートモーティブテクノロジー 車両実験部 第三車両実験部グループ シニアテクニカルレビュア 永井 暁さん日産オートモーティブテクノロジー 車両実験部 第三車両実験部グループ シニアテクニカルレビュア 永井 暁さん Photo by A.T.

重心が高くなった分、軽量化に注力

日産自動車 第二製品開発本部 第二製品開発部 第一プロジェクト統括グループ 車両開発主管 坂 幸真さん(以下、坂):重心はなるべく低い位置に置いておきたい。でも今回は様々な要望を通すためにいろいろとやったので、トータルとして本当は下げたい重心高が少しだけ上がってしまいました。

F:重心が高くなると、やはり足回りの設定は難しくなりますか?

永:それはもう、めちゃくちゃ難しくなります。ルークスのハンドリングは前モデルから評判がよく、自信もありました。それを維持しつつ、乗り心地を良くしたいという思いが背景にありました。その一方で重心は上がってしまった。重心が上がると分かった頃から、社内のさまざまな部署からブーイングが出ました。