「あれ、見逃した回がある?」朝ドラ史に残る“描かれなかった変化”で浦島太郎状態に〈風、薫る第20回〉『風、薫る』第20回より 写真提供:NHK

今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラ(連続テレビ小説)に関する著書を2冊上梓し、毎日レビューを続けて12年目の著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は、第20回(2026年4月24日放送)の「風、薫る」レビューです。(ライター 木俣 冬)

虎太郎の家で宴会?

 もう退場かもう退場かと思わせながら、しぶとく登場している虎太郎(小林虎之介)。

 彼はこのままお嬢様の用心棒で終わっていいのか、そう思う視聴者も少なくないだろう。あまりに都合のよい役割を与えられすぎていないだろうか。

 だがついに虎太郎が動く。第19回、お地蔵さんのいる3叉路の分かれ道で、東京に戻ろうとするりん(見上愛)の腕をつかみ「行くな」と引き留めたのだ。

 虎太郎とりんはしばし土手で語らう。環(宮島るか)は野の草を摘んで遊んでいる。ほんとにおとなしいよい子。

 そこでりんは東京で捨松(多部未華子)と再会したことを話す。虎太郎の手に巻いた白いハンカチーフは、捨松がりんに巻いてくれたものだった。

「確かそんなことも」とわりとあっさりな虎太郎。あのハンカチーフ、どこにいったんでしょうか。

「すっかり東京の人だ」

 虎太郎の知らない東京に、虎太郎の知らないりんがいる。

 その晩、りんは虎太郎の家に泊まることにしたらしい。家ではちょっとした宴会が行われ、お久しぶりの中村(小林隆)も参加。「私、東京へ行くりん様のために、何1つお役に立つこともできず、面目ないことでござる」と「ござる」言葉を発する。

 皆、相当酔って、無病息災を祈る踊りをりんの餞(はなむけ)に披露する。

 翌朝、りんと環は東京へ――。

「りん、お前はきっと優しい風を起こせる」

 ふいに父・信右衛門(北村一輝)の声が風に乗って流れてくる。このシーンはとても力が入っている印象で風の動きがとてもよく出ていた。すーっと遠くから風がりんの脇を通って吹き抜けていく。まるで信右衛門が風になって飛んでいるようなビジョンが目に浮かぶようだった。

 りんは勇気百倍、環を背負って歩き出す。

 朝ドラ名物、最終回かと思うようなシーン。

 りんと環の戦いはこれからだ!(完)