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回し車の中をひたすら走り続けるネズミ。その行動には、さまざまな説明が与えられてきた。しかし、それらの仮説は必ずしも実験結果と一致しないという。ネズミはなぜ、同じ場所を走り続けるのか?※本稿は、動物心理学者の中島定彦『ネズミはなぜ回し車で走るのか』(岩波書店)の一部を抜粋・編集したものです。
ネズミが回し車に
惹かれる理由とは
動物はなぜ回し車で走るのだろうか?これまでにいろいろな仮説が提唱されてきた。
すぐ思いつく理由としては「走ると楽しいから」ということだ。元気な子どものように、走ること自体が大好きという可能性である。しかし、マウスは回し車だと1日に平均6332mも走るのに、環状(ループ状)のトンネルだと平均153mしか走らないという研究報告がある。走るのが好きなら、環状トンネルでも回し車と同じくらい走るはずだ。
次に考えられるのは、回し車特有の「何か」が楽しさを増幅しているという可能性である。つまり、「回し車で走ることが楽しい」というわけだ。どうやら、走っても走っても風景や周囲のにおいが変わらないのが不思議で面白いとか、回し車の音が聞こえる、といった理由ではなさそうだ。というのも、薬や手術によって視覚・嗅覚・聴覚を利かなくしても、回し車の走行量にほとんど影響しないからである。重要なのは体性感覚なのだろう。回し車で走るという運動そのものが楽しいようだ。
ネズミは「何かを見つけようとして走っている」という見方もできる。これを探索仮説という。この仮説は、「回し車で走っても、場所は変わらないのだから走る意味はない」と一蹴できそうだが、次のように考えれば納得できる。







