2008年の総括
2008年の日経平均は急落した。年間の下落率はマイナス40%程度となり、1967年からのデータでは最悪の年となった。
2007年8月に「BNPパリバショック」が起こり、サブプライム問題が表面化した。それが2008年に入り本格的に世界中を襲ったのだ。金融資産は急落し、日経平均もその影響を免れなかった。
まず1月は1万5000円台でスタート、その後は水準を変えながらも1万3000円台前後で推移した。当初はサブプライム問題は早期に事態収拾し、また仮に日米欧の先進国の経済が停滞しても、成長著しい新興国が世界経済を支えるとの「デカップリング(分離)」論が主流だった。
事態が一変したのは7~8月。3月にJPモルガンが米ベアー・スターンズ買収を発表した頃は「まだ大丈夫」といった雰囲気だったが、米国財務省とFRBが住宅金融公社である「ファニーメイ」と「フレディマック」救済を発表し、米国住宅市場の本丸に火の手が上がった。
そして9月に米大手証券会社のリーマン・ブラザーズが破綻し、急速に金融市場は冷え込んだ。不信の連鎖は広がり、短期金融市場はドルの出し手が消滅、金利は跳ね上がった。
その後、10月に米国が金融安定化策を発表、金融機関への公的資金注入、銀行債務の政府保証、預金者保護に踏み切った。世界各国も平仄を合わせ、中央銀行は大幅な利下げを打ち出した。
それでも株式市場は下げ止まらず、日経平均は10月に騰落率がマイナス23.8%となり、1967年からの月間データでは最悪の下落率となった。
実体経済にも悪影響は及び、日本では資金繰り難から上場マンションデベロッパーが多数倒産した。12月の日銀短観では、大企業製造業の業況判断DIは、前回のマイナス3からマイナス24へ大幅減少した。これは1975年に一度あっただけで、過去30年間で最大の悪化幅である。
米国では、自動車大手3社の経営難に絡む救済法案が迷走している。FRBは実質的なゼロ金利政策に追い込まれた。震源地である米国の動揺は現在も続いている。
日経平均は結局10月に1万円を割り込んだ後も戻りは鈍く、一時は7000円割れもあったが、結局8000円台で年末を迎えた。
業種別には、大きく円高が進んだことから、電機、精密、輸送機器、非鉄、海運などが急落した。一方で電力ガス、紙パ、食品、小売などは下落が比較的軽微であった。規模別には大型株の調整幅が大きかった。