中国の教育ママ、工場見学ツアー巡り争奪戦Photo:picture alliance/gettyimages

【北京】北京在住のコンテンツクリエイター、ヤン・シンユーさん(35)は、中国テック企業の小米(シャオミ)が電気自動車(EV)工場の無料見学ツアーを実施すると聞き、何もかも放り出してチケットに応募した。

 当たる確率は高くなかった。小米は昨年1月、北京郊外の高度に自動化された工場を一般公開するため、オンライン抽選を開始した。すると地元住民や観光客がチケットを求めて殺到した。さらにソーシャルメディアでその話題が拡散された。完璧なシャッターチャンスを求めるインフルエンサーと、ロボットが活躍する組み立てラインを子どもたちに見せてテック分野のキャリアを目指すきっかけにしたい教育ママが競い合った。

 12月と1月に行われる約200回のツアーに10万人以上が応募した。一部の難関大学よりもこのEV工場に入るのは困難だった。

 自動車愛好家のヤンさんは2歳の息子にEV工場を間近で見せたかった。そして驚いたことに、昨年3月のツアーに当選した。最大2人の同行者が許された。

「非常に幸運だった」と彼女は言う。

 だが、息子は一緒に連れて行けなかった。小米は参加者を6歳以上に限定している。彼女は代わりに友人を誘った。息子が年齢制限を満たすようになったら再訪したいと考えている。

 ヤンさんにとって初の工場見学だった。1時間のツアーの間、工場内で何百台もの自動化されたロボットアームと機械を目にした。小米によると、同工場では76秒に1台のペースで新車を生産している。彼女は中国の技術がどれほど急速に発展したかについて、新たな認識を持つに至ったと語る。

「非常に先進的な機械工場だった」と彼女は言う。「『車はこうやって作られるのか』と感心した」

 それは「産業観光」が中国に広まる理由の一つだ。世界の工場と呼ばれる中国がさらに先端技術の世界的リーダーにもなりつつあることを受け、中国政府はハイテク製造業への自国民の誇りを高めようとしている。北京市は最近、2027年までに年間2000万人の産業観光客を呼び込む目標を立てた。