そのたびに、自分の生活がどこか物足りなく感じたり、「どうして自分だけ」と落ち込んだりする。ヴュルツブルク大学のウェーバーらの研究が、Instagramの上方比較が私たちの心にどのような影響を与えるのかを実験で明らかにしています。
たとえば、健康的で活動的なライフスタイルを投稿するアカウントを見ると、多くの人は「自分ももっと頑張らなきゃ」と感じたり、逆に「自分には無理かも」とネガティブな気持ちになったりすることがあります。しかし、この感情をただ漠然と抱えるだけでなく、「今、私はこの投稿を見てこう感じている」「この人の生活は状況が違うこともあるかもしれない」とことばにして自覚すると、ネガティブな感情を抑えられるのです。
相手に対する認識を改めて
感じたことを「ことば」にする
この研究では、感じ方を見直すための簡単なトレーニングが行われました。具体的には、「その人が素敵に見えるのは、環境や偶然の要素もある」ということや、「自分の能力や生活は努力や成長によって変わるものだ」という考え方を伝えるというものです。
これは、「リフレーミング」(編集部注/事実の捉え直し)に近い考え方です。物事の見方を少し変えるだけで、同じ現実でも感じ方はまったく違ってくる。たとえば、「うらやましい」と思った相手を「努力を続けている人」として見直すだけでも、自分のモチベーションへと転換できます。
こうした考え方を頭で理解し、ことばにできると、上方比較によるネガティブな感情が和らぎやすくなることがわかっています。なぜなら、感じていることをことばにすることで、その感情がただの「漠然とした不安」や「負の感覚」から、「具体的な思考」として認識され、自分自身を客観的に見る助けになるからです。
『最先端研究でわかった頭のいい人がやっている 言語化の習慣』(堀田秀吾、朝日新聞出版)
たとえば「彼女の写真を見るとうらやましいけど、彼女も頑張っているんだろう。私も少しずつ成長しよう」と言語化できると、モヤモヤした気持ちが整理されます。
また、このように自分の感じ方や考え方をことばにしてふりかえる習慣は、「自分は社会的比較をしやすいタイプなんだな」と気づくきっかけにもなります。先の研究では、他者と自分を比較しやすいかどうかの違いが、SNSでの感情の変化に影響していることも示されています。
したがって、Instagramなどでたくさんの素敵な投稿を見るときは、ただ受け身で眺めるのではなく、「私は今こんなふうに感じている」「でも、この人の暮らしは私とは違う面もあるし、自分には自分のペースがある」と、一度ことばにしてみてください。その小さな言語化が、自分を守り、心のバランスを保つ強い味方になるでしょう。
「漠然とした不安」を感じたら、その感覚をことばにする。







